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新入社員たちがやって来た

この4月1日から4名の新入社員がボクたちの仲間入りをした。
コロナ感染に配慮しながらの入社式に始まり、10日間の研修を終え、それぞれが各番組プロデューサーの下で働き始め、早くも1ヶ月が経つ。

将来有望な若者たちが、毎年門を叩いてくれることは有難いことだ。
当然のことながら、新入社員の誰もが、番組の制作は初体験だから、右から左まですべてが一からのスタートだ。
恐らく、見ること聞くことのすべてが新鮮で、同時に不安であるに違いない。

そんな新入社員たちが研修課題で制作した10分余の映像を見て頂ければ幸いである。
新入社員が聞く!オルタス2大巨頭へのインタビューで見て頂ける。
この若者たちが、今後どのように成長してくれるのが楽しみである。

他の業界同様に、ボクたちの仕事でも10年がひとつのメドとなる。
例えばディレクターの場合、10年勤続すると一通りの作法を身につけることができる。
入社一年目でも企画次第でディレクターをするケースもあるが、一般的には入社して3年目ほどでディレクターとしての役割を与えられる。
しかし、実際にはまだまだで、周囲のベテランスタッフたちに面倒を見て貰わないと、その役目は果たし切れない。

基礎となるスキルを磨くのに少なくとも10年は必要だということだ。
何事もスピードが求められる現代だが、この10年という時間は、どうにも短縮できない修養期間なのである。
そして、ここまで頑張りきれた者だけが、この仕事の面白さや楽しさを体感し、喜びも知ることができるし、給料もそれ相応についてくる。

さらに付け加えれば、一人前のディレクターなり、プロデューサーなりになるためには、それから更に10年はかかる。
合わせて20年、ここまで来て、初めて人前で制作者と言える存在になれる。

しかし、残念なことに、この最初の10年を我慢することができない人たちも多い。
理由はさまざまだが、辞める人たちの多くは1~5年でギブアップしてしまう。

もっとも、ボクを含めて人は誰もが、自分の思い込みと勘違いで生きている。
実際そうでなければ生きてなど行けないのだか、特に若いうちは目の前しか見えない。
しかし、この確実に存在する「10年」の真実は知っておいて欲しいといつも思う。

この春で入社して満10年を迎えたスタッフのひとりから、つい最近メールが届いた。
本人の承諾を得たので少し長いが引用させてもらう。

「僕がオルタスに来て、この4月でちょうど10年です。
中途で入りましたが、正社員にまでしていただき ありがとうございます。
同期は、僕以外に2人の新人がいました。もう2人ともオルタスにいませんが、入社式の際 3人で聞いた社長の話をよく覚えています。
「いまはやる気に満ちているかもしれないが、いつか魔が差すときがある。やめてしまいたい時がいつかきっと来る。その時は、きょうの入社式のことを思い出せ。なぜ この仕事をやろうと思ったのか。初心に帰れ。」と言った内容だったと記憶しています。

じつは、その“魔が差すとき”は、僕にとってはオルタスに入社した2011年だったと思います。その1年は ディレクター人生で1番苦しい1年でした。
自分の実力不足から来る壁で仕事が上手くいかなかった事もありますが、とくに震災関連の取材で気持ちが擦り減ってしまいました。
自分の言葉で取材相手を傷づけてしまったかもしれない。あんなに取材させてもらったのに、放送実現することが出来ない無力さ。など

それまでディレクターをやめようと思ったことは1度もありませんでしたが、あの時は一瞬 頭をよぎりました。
その時に、社長の入社式の言葉を思い出しました。
「人を救いたい。自分の作ったモノで 1人でもいいから救われる人がいてほしい。」僕の初心はそこにあり、踏みとどまることが出来ました………(後略)」

会社設立以来30余年で何人の人たちが入社し、去って行っただろう。
初めのうちは思い留まるよう説得に努めたが、途中で考えを変えた。
去る者は追わないことを原則とすることに決めた。
それには理由がある。

ボクたちの会社設立の意図は単純明快だった。
「あっと世間の人たちを驚かせるような番組を作りたいね。それをドキュメンタリーでやりたいね」
こうして「ドキュメンタリーを志す者はこの指止まれ」で集まった人たちて始まり今に至る。

お笑いでもアートでも旅でも音楽でも文学でも政治でも経済でも事件でも戦争でも、何でもござれ、ジャンルやテーマは問わない。
制作者がドキュメンタリーだと言い切れればそれはドキュメンタリーだ。
現在を切り取ろうと、過去を描こうと、それを「今」放送することの、しっかりした意味や意義さえあれば良い。

そして、本当に番組を作りたいと望み、番組を制作することに喜びを求める人たちだけの集団であることを目指して来た。
それは会社の設立当初から今日に至るまで変わることのない原則である。

「ドキュメンタリー制作はお金になりませんよ」とは何度も聞かされた忠告だ。
そのことは身に染みて知っているし、お金の大切さも知っている。
そしてドキュメンタリー制作という仕事と、この仕事がもたらす利益とのギャップに悩み続ける毎日だ。

それを知りながらも、この仕事の面白さに魅せられて気が付くと55年余が経つ。
ボクたちの会社はそんな志を伝統としている。
「この仕事が好きで、楽しい」がキーワードだ。

だから、別の価値を求めて、それを見つけたり、ボクたちの会社では楽しさを見つけられなくて職を辞そうと決心した人たちを引き留めることは無理を強いることだと気づいた。

勿論、どのスタッフにも心を注いでいるので辞職の言葉を聞く度に胸にグサリとくるし、また同時に、ボク自身の彼らに対するケアーの足りなさを申し訳なくも感じるのだが、これも縁だと思うことにした。

政府の新自由主義の経済政策の下、大企業が終身雇用を放棄し、生産性と効率を重視する競争社会を目指すようになって以来10数余年、弱い者が切り捨てられ、強い者だけが生き残れる格差社会となり、転職やアルバイトが奨励され、会社や仕事そのものに対する考え方も大きく変化し、さらにネットの発展と軌を一にして、特に、ここ数年若者たちの就職後の動きが激しく不安定になったと感じている。

しかし、ボクはそんな世の中の流れを意識しながらも、多種多様な異なる考えや感性を持つ人たちが集まり、番組や映像制作に挑む、そしてその仕事に一生を託す情熱と喜びを持てる、そんな会社にしたいと願って来た。
本気でこの仕事をしたいと望む人たちがいる限り、力のある者がまだまだ未熟な者を助けながら共に力を合わせ共存できる、そんな会社だ。
それが今のボクの夢である。

そのためにも、一人前のディレクターやプロデューサーを目指して日々頑張っている若者たちが、気持ちよく、楽しく、真っすぐに成長していける環境を整えなければならない。
快適な職場作りとすべてのスタッフの意欲を削ぐことの無いよう、さらに一層の努力をしたいと思っている。

キラキラと輝いている新入社員たちを迎えて、改めて思うことである。

     「情熱と 夢で楽しむ 浮世かな」



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