マスコミは本来の役割を果たせて来たのか
やっぱりな、欲望の前には、人は同じ過ちをくり返すものなのだな……。
これが安倍首相辞任の報を聞いた時の率直な感想だった。
第一次安倍政権時代に病気のために首相を辞任したことがあった。
タイミングはともあれ、それはそれとして仕方のないことだったとは思う。
病魔に襲われたことは不幸で気の毒なことだった。
しかし今回は、自民党の党則を変えてまで総裁の任期を無理やり延長し、しかも同じ病気での職務半ばの辞任だっただけに、申し開きは立たない。
首相本人は残念な思いだろうが、経緯から考えると本来は、深刻な持病の悪化は辞任の理由には出来ない筈である。
己を知らぬということであろうし、同時にそれを含めて、責任ある首相の器ではなかったという証明でもあるのだろう。
責任を果たさぬ、いかにも安倍首相らしい結末である。
職を辞した者を悪く言うのは潔ぎ良しとしないが、それにしても恥を知らぬ無責任政権だったと思う。
恐らくボクたちが知っていたかつての自民党ならば、多くの閣僚の不祥事や失言が驚くほど頻繁に続き、それに対して政権が責任を取らない時点で、自民党良識派の長老たちからの一喝があった筈で、森友・加計学園問題や桜を見る会騒動も起きることは無かったと思う。
公文書改ざんなどを含め、その後も党ぐるみの大きな選挙違反で河井前法相夫妻が逮捕されたり、総合型リゾート(IR)事業をめぐる贈収賄事件で秋元内閣府副大臣が逮捕されるなど、政権内部の腐敗ぶりは目に余るものがあった。
上層部の腐敗は、その組織そのものを下部に至るまで腐らせて行く図が絵に描いたように生じている。
告発の声を上げようとした地方の官僚を自殺にまで追い込みながら、調査を拒否し、闇に葬ろうとしている。
野党のやる気なさはもとより言語道断だが、頼むべき自民党の自浄作用もまったくその機能を喪失してしまった。
忖度という流行語まで生み出した政治手法は日本の脆弱な民主主義を更に危うい存在に劣化させている。
ボク自身がそうであるように、元来、民とは常に口さがない存在で、それぞれが無責任に勝手なことを言うものだが、民の声の中には的を得ているものもそれなりに存在し、それが民意となる。
現政権が、図らずもこの民意から大きく乖離していることを世間に明らかにしたのが新型コロナウイルスへの諸々の対応だったことは周知である。
コロナの鋭い光の矢が安倍政権の本質を見事に射抜いた。
不祥事の度に陳謝し、改めることなく同じ不祥事を幾度となく平然と繰り返して来た政権も、コロナにはその手は通じなかった、というのが実相だろう。
アベノマスクの配布で従順な国民もさすがにあきれ果て、支持率は過去最低の数字となっていた。
マスコミでは、7年8か月に及ぶ安倍政権の功罪について論じられている。
立場によって、良くやった、との論調もあれば、批判的な見方をするものもある。
ボクは良く分からないが、結局は大企業だけが栄え、圧倒的大多数の労働者が貧しい、格差社会を作ることとなっている、と思うし、これまでの不透明で言い逃れに終始する政治手法は民主主義にとって危険であるとも思う。
そして何より、官邸がマスコミの人事にまで干渉したことはとても危ないことだと感じている。
それはマスコミ側の忖度だったとの側面があったにせよ、である。
マスコミの側には権力からの介入をはねのけるだけの気概と矜持を求めたい。
安倍政権だけに限らす、権力とはもともとそういうものだからである。
古くから、新聞は「権力のチェック機構」であると言われて来た。
現在では新聞と並びテレビ報道も同様の立場にある。
権力は腐敗するし、暴走もする。
それをチェックするのが報道であると言って良いだろう。
司法、行政、立法の三権分立が民主主義社会の根本だが、「第4の権力」と称される報道機関がそのチェック機能を果たして健全な民主主義を守る、との考えである。
これは憲法で保障された言論、出版の自由に基づくものだ。
特に、安倍政権の7年8か月の間、マスコミの世界はその機能を真剣に果たして来たのか、との反省はある。
政権への忖度は無かったと言い切れるのかどうか。
そして、権力と同様に民意もしばしば暴走する。
マスコミは民意のチェックも果たさなければならない。
利害得失で動く世の中の事象を丹念に取材し、その資料に基づいて不偏不党の立場で広く伝えることが報道の役目だ。
マスコミが伝えるべきものは各事象の事実と真相である。
その意味で、「第4の権力」と称されるのだが、どこの機関からも独立して事実や真相の報道に対するいかなる圧力や干渉も許さない、とのマスコミ側の矜持が揺らぐことがあってはならないのだ。
いま、次の総理の座とその後の組閣人事等々をめぐりマスコミを賑わせているが、これとて前もってのシナリオ通りに進行している茶番劇に過ぎない。
安倍政権の権益構造をそのまま継続していく為のなれ合い政治の延長に映る。
これが果たして民意なのか、そうでないのかはボクには分からない。
審判を下すのは国民である。
時は否応なく流れ、事態は刻々と変化する。
その状況に応じて、考え方や価値観も変化する。
どの選択が正しく、何が間違っているのか、そんなことは誰にも分からない。
その中にあってニュース報道は、事実を見つめ、出来る限り正確にその事実を伝えて行く。
そして報道ドキュメンタリーはそれらの事象や現象の裏に潜む真相や実相をあぶり出し、その事実を踏まえ、社会の在り方や人の生き方を考えるための問い掛けを広く社会に伝えるために存在するのである。
「首すくめ 眼を閉じてれば 嵐去り」

これが安倍首相辞任の報を聞いた時の率直な感想だった。
第一次安倍政権時代に病気のために首相を辞任したことがあった。
タイミングはともあれ、それはそれとして仕方のないことだったとは思う。
病魔に襲われたことは不幸で気の毒なことだった。
しかし今回は、自民党の党則を変えてまで総裁の任期を無理やり延長し、しかも同じ病気での職務半ばの辞任だっただけに、申し開きは立たない。
首相本人は残念な思いだろうが、経緯から考えると本来は、深刻な持病の悪化は辞任の理由には出来ない筈である。
己を知らぬということであろうし、同時にそれを含めて、責任ある首相の器ではなかったという証明でもあるのだろう。
責任を果たさぬ、いかにも安倍首相らしい結末である。
職を辞した者を悪く言うのは潔ぎ良しとしないが、それにしても恥を知らぬ無責任政権だったと思う。
恐らくボクたちが知っていたかつての自民党ならば、多くの閣僚の不祥事や失言が驚くほど頻繁に続き、それに対して政権が責任を取らない時点で、自民党良識派の長老たちからの一喝があった筈で、森友・加計学園問題や桜を見る会騒動も起きることは無かったと思う。
公文書改ざんなどを含め、その後も党ぐるみの大きな選挙違反で河井前法相夫妻が逮捕されたり、総合型リゾート(IR)事業をめぐる贈収賄事件で秋元内閣府副大臣が逮捕されるなど、政権内部の腐敗ぶりは目に余るものがあった。
上層部の腐敗は、その組織そのものを下部に至るまで腐らせて行く図が絵に描いたように生じている。
告発の声を上げようとした地方の官僚を自殺にまで追い込みながら、調査を拒否し、闇に葬ろうとしている。
野党のやる気なさはもとより言語道断だが、頼むべき自民党の自浄作用もまったくその機能を喪失してしまった。
忖度という流行語まで生み出した政治手法は日本の脆弱な民主主義を更に危うい存在に劣化させている。
ボク自身がそうであるように、元来、民とは常に口さがない存在で、それぞれが無責任に勝手なことを言うものだが、民の声の中には的を得ているものもそれなりに存在し、それが民意となる。
現政権が、図らずもこの民意から大きく乖離していることを世間に明らかにしたのが新型コロナウイルスへの諸々の対応だったことは周知である。
コロナの鋭い光の矢が安倍政権の本質を見事に射抜いた。
不祥事の度に陳謝し、改めることなく同じ不祥事を幾度となく平然と繰り返して来た政権も、コロナにはその手は通じなかった、というのが実相だろう。
アベノマスクの配布で従順な国民もさすがにあきれ果て、支持率は過去最低の数字となっていた。
マスコミでは、7年8か月に及ぶ安倍政権の功罪について論じられている。
立場によって、良くやった、との論調もあれば、批判的な見方をするものもある。
ボクは良く分からないが、結局は大企業だけが栄え、圧倒的大多数の労働者が貧しい、格差社会を作ることとなっている、と思うし、これまでの不透明で言い逃れに終始する政治手法は民主主義にとって危険であるとも思う。
そして何より、官邸がマスコミの人事にまで干渉したことはとても危ないことだと感じている。
それはマスコミ側の忖度だったとの側面があったにせよ、である。
マスコミの側には権力からの介入をはねのけるだけの気概と矜持を求めたい。
安倍政権だけに限らす、権力とはもともとそういうものだからである。
古くから、新聞は「権力のチェック機構」であると言われて来た。
現在では新聞と並びテレビ報道も同様の立場にある。
権力は腐敗するし、暴走もする。
それをチェックするのが報道であると言って良いだろう。
司法、行政、立法の三権分立が民主主義社会の根本だが、「第4の権力」と称される報道機関がそのチェック機能を果たして健全な民主主義を守る、との考えである。
これは憲法で保障された言論、出版の自由に基づくものだ。
特に、安倍政権の7年8か月の間、マスコミの世界はその機能を真剣に果たして来たのか、との反省はある。
政権への忖度は無かったと言い切れるのかどうか。
そして、権力と同様に民意もしばしば暴走する。
マスコミは民意のチェックも果たさなければならない。
利害得失で動く世の中の事象を丹念に取材し、その資料に基づいて不偏不党の立場で広く伝えることが報道の役目だ。
マスコミが伝えるべきものは各事象の事実と真相である。
その意味で、「第4の権力」と称されるのだが、どこの機関からも独立して事実や真相の報道に対するいかなる圧力や干渉も許さない、とのマスコミ側の矜持が揺らぐことがあってはならないのだ。
いま、次の総理の座とその後の組閣人事等々をめぐりマスコミを賑わせているが、これとて前もってのシナリオ通りに進行している茶番劇に過ぎない。
安倍政権の権益構造をそのまま継続していく為のなれ合い政治の延長に映る。
これが果たして民意なのか、そうでないのかはボクには分からない。
審判を下すのは国民である。
時は否応なく流れ、事態は刻々と変化する。
その状況に応じて、考え方や価値観も変化する。
どの選択が正しく、何が間違っているのか、そんなことは誰にも分からない。
その中にあってニュース報道は、事実を見つめ、出来る限り正確にその事実を伝えて行く。
そして報道ドキュメンタリーはそれらの事象や現象の裏に潜む真相や実相をあぶり出し、その事実を踏まえ、社会の在り方や人の生き方を考えるための問い掛けを広く社会に伝えるために存在するのである。
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