FC2ブログ
ホーム   »  未分類  »  働き方改革の波紋

働き方改革の波紋

先日、あるテレビ局の関連会社から、わが社の朝から夕刻までの様子を丸一日見学したいとの要請があり、うちのような会社で良ろしければ、いつでもどうぞ、ということになった。

要請のあった局の関連会社は200人以上のスタッフを抱える制作会社だが、働き方改革で残業が自由に出来なくなったために、大幅に人員を増やさざるを得なくなった。

これまでは、スタッフそれぞれのデスクを用意していたのだが、増員すればデスクが足りなくなる。
オフィスの広さには限りがあるので、どうすれば良いか、と思案していたら、どなたかが、オルタスがフリースペースでやっているらしいよ、ということを聞きつけて、同業の制作会社だから一度その様子を見学してみよう、ということになったらしい。

見学に先だって打ち合わせに来られた担当責任者は「自分のデスクが無くなっても、上手くいくものか、不平不満は出ないか」を心配した。
さらに「使ったパソコンや資料などの整理整頓は可能なのか、帰宅時に放置していくのではないか」を恐れていた。

しかし実際には、ボクたちが昨年の12月1日に現在の建物に移ってからおよそ10ヶ月、フリースペースを実践しているが、とてもスムーズで一切の問題は起きていない。

見学当日、朝早くから4人の担当者の面々が来られて時折メモをとるなどして、真剣に観察した。
午後には常務取締役のAさんも挨拶に見えた。

Aさんは親会社のテレビ局からその関連会社に出向しているが、かつてレギュラーの報道ドキュメンタリー番組のプロデューサーを務め、ボクたちもずいぶんお世話になった。
反骨精神に満ちたとても優秀なプロデューサーで、常務取締役をしているのは勿体ないと思えるほどの現場感覚の人物である。
常務取締役としても手腕を発揮されていることだろう。
しばしば麻雀も打った親しい間柄でもある。

「上手くいきますかねぇ」とAさんは言った。
話の様子から、Aさん自身はフリースペースに余り乗り気ではないことが窺えた。
「Aさんが率先して自分のデスクを無くしたら、スタッフは一斉に右に倣えするんじゃないですか」とボクは言った。

ボクたちの会社はスタッフ70人ほどの小さな規模の会社だから、フロアーも広くないので、誰がどこに居るか見渡せは分かるが、300人近い規模の大所帯となると、そうはいかない。
管理職の居場所が日替わりだと、所属長にハンコやサインを貰うのも手間がかかる。
だから、わが社のように、取締役やプロデューサーも全員をフリースペースにとはいかない事情もあるだろう。

「各々が自分のデスクを持てないことには、正直抵抗感はあるなあ」とAさんはチラッと本音を漏らした。
「でも、今回は実行するしか無いのでねぇ」

幸いにしてボクたちの場合は上手く運んだケースだが、聞くところによると、失敗例も多々あるようだ。
某テレビ局は他に先駆けてフリースペースにしたまでは良かったのだが、3ヶ月ほど経つ頃には、会社に現れる人たちの数が極端に減ってしまい、取りやめになったと聞いている。

また、別の会社では、何人かのボス的存在の者が、それぞれ自分たちの島を作り、やがて資料や荷物の積み放題となり、収拾がつかくなり、フリースペースの見直しを検討しているとの話もある。

それまでの慣行を改めて、何か新しいことを始めようとすると、さまざまな抵抗があり挫折するというのは、よく起こりがちな話だとは云え、働き方改革の思わぬ余波のひとつでもある。

日本全国各地に多くの支社や支局を持つ公共放送局は、働き方改革を守るために各地方局での人材増を迫られているようだ。
即戦力に対応できる人材として同局で定年を終えた、65歳以上のOBにも呼びかけているが、人材の確保に苦労しているようである。

こうしてみると、働き方改革は、労働力不足の日本をさらに労働力不足に追い込んでいるようにも思えるが、ただ、それも、そうした資金力のある大きな会社は、人を増やすことも出来るし、場合によっては、それに見合った広いスペースも新たに準備することも出来る。
しかし、ボクたちのような大して体力の無い会社は、何とかしないと生き残れないので、現状の中で必死に工夫を凝らすしかない。

もともと、働き方改革は働く者の権利や生活の向上を目指すものでは勿論なくて、日本経済の国際競争力を強化するために、生産性を上げるためのものであることは遍く知られているところである。
そのためには、力のある組織を更に強化し、弱い体質の組織は消滅させようとの施策である。

優勝劣敗は世の習いとは申せ、弱者にとっては益々厳しい時代となったものだ。
しかし、変化の激しい乱世は、それはそれで面白い。

そこでどう対応するかを試行錯誤して、自らの道を新たに切り拓いて行こうとの意志を持ち続けることは、結果がどうあれ、刺激あるチャレンジで、また良し、と考えている。
そして、いかなる時でも忘れてならないものは、自由な職場の雰囲気を維持することと、そこから生み出される自由な発想である。

      「スペースも 働き方も フリーでGO!」




にほんブログ村 テレビブログ ドキュメンタリー番組へ にほんブログ村 テレビブログ プロデューサー・ディレクターへ 人気ブログランキングへ

ブログランキングに参加しています。クリックをお願いします。





関連記事
Comment
Trackback
Trackback URL
Comment Form
管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

馬鹿社長

Author:馬鹿社長
【小田昭太郎】
株式会社オルタスジャパン代表取締役

★ホームページ★

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR