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一宿一飯の義理

ボクはもともと、他人の家に泊めて貰ったり、ご馳走になったりするのは得意な方ではない。
泊めて貰ったり、ご馳走になったりするとそれへの恩が生じ、この恩に報いなければならない義理が生まれる。
一宿一飯の義理である。

この義理というヤツはとても厄介だから出来る限り遠ざかっておきたい存在である。
ボクは義理と人情にこだわって生きているので、奢られるよりも奢る方が好きだし、他人から何かして貰うより他人に何かする方が好きである。

第一に、気が楽なのである。
貸し借りは出来るだけ避けたい。
特に借りは作りたくない。

しかし、その言葉とは裏腹に、会社を立ち上げた40歳以降、背に腹は代えられず、友人や知人から、死ぬほど借金をして来た。
何とも情けない男である。
しかし、ボクを助けてくれた多くの人たちのひとりひとりの顔は、脳に深く刻みこまれていて忘れることはない。
それら多くの人たちから受けた恩を返さなければならないからである。

借金は返すのは当然だが、受けた恩を返すのは想像以上に大変なことである。
恩に報い、義理を果たせなければ、人としての面目が立たないからである。
この大きな負い目は一生抱えて生き続けることになる。

借金を重ねていた当時は、自転車操業で、借金のほとんどはスタッフの給料で消えて行った。
スタッフもそんな事情を知っていて、それこそ歯を食いしばり懸命に仕事に励んでくれたお蔭で、ここ10年ほどで経営もようやく安定してきた。
ボクたちの会社はまだまだ一人前にはほど遠いけれども、設立以来30年間を持ち堪えて来たのだから、細々とではあるが、何とかなっているということだろう。

誠にお恥ずかしい限りだが、恐らく会社のためとは云え、ボクほど借金を重ねて来た者もそれほど多くはいないと思う。
そして、経営の才能など無いボクをスタッフが支えてくれた。

しかし、私生活でお金を借りたことは一度もない。
恥ずかしくてとても出来ない。

60歳も半ばで離婚し、文字通り、丸裸の一文無しになったが、ボクには会社という、思いを込めて育て上げてきた存在があったので、平気でいられた。
再婚した現在の妻も、これほど貧乏な人だとは思わなかった、と呆れるほどの文無しだった。
そんな延長線上で現在があるのだが、会社もあらかた借金を返し、恩と義理だけが残る状態になった。

しかし、実は大きな借金がまだ残っている。
それは銀行からの借り入れである。

メガバンク3行とお付き合いさせていただいているが、旧財閥系の二行からは恒常的に借り入れをしている。
銀行はお金を貸すのが商売だから、当然、友人や知人から借りるのとは訳が違う。
多くの友人、知人はある時払いの催促なし、など緩やかで、本当に苦しい時に貸してくれたが、銀行は雨が降った時には傘を貸してくれることはない。
銀行が冷徹な側面を持つ組織であることは百も承知している。

しかしそれでも、ボクは融資してくれている銀行には計り知れない感謝の念と恩義を感じて毎日を過ごしている。
恩を仇で返すことの無いようにだけはしなければならないとの強い思いがあるのは当たり前のことである。

つい先日、借り入れをしている、旧財閥系のある銀行から厚いもてなしの接待を受けた。
これまで、色々な体験をしてきたが、銀行の方からご馳走していただくのは長い人生でも初めてのことだった。
吹けば飛んでしまうような、ちっぽけなボクたちの会社などに、どうして銀行がわざわざ一席設けてくれるのか、その理由がどうしても分からなかった。

立派なお座敷で、次から次へと目の前で揚げてくれる珍しい食材の天ぷらを頬張りながら、「ボクは頭が悪いのでぜひお聞かせ願いたいのですが………」とその訳を尋ねた。
「いやあ、日頃お世話になっておりますので………」としかお偉いさんはおっしゃらない。
実際お世話になっているのはボクたちの方である。

はっきりした答えも聞けないままで、よもやま話になり、お互いの業界の事などの情報交換をしたのだったが、それらの話の中から、もしかするとこういうことか、とのヒントがあった。

そのひとつは、現在、日本では1年間でなんと3万件近い会社の倒産や解散があるという。
黒字会社でも後継者問題で閉じる会社も多いらしい。
30年間以上継続している会社は実際にはゼロ.コンマ数パーセントしか存在していないのではないか、ということだった。
継続とは力だと聞くが、ボクたちの会社が30年間続いていることは、大きな社会的信用になっているのだ、との事実である。

もうひとつは、よく知られているように、近年、圧倒的に増えているのがIT系の会社群で、全体的には大きな利益を挙げている。
しかし、その業界は浮き沈みが激しく、前年度が良くても、次の年は倒産するようなケースが珍しくないらしい。
だからIT関連会社への銀行の融資は慎重にならざるを得ない。
以前にも増して、銀行の融資先が限られてきて、総体的に信用できるお客数が減少しているのだという。
そう云えば、現在の銀行の取引先は、国内は40%に過ぎず、60%が海外だと耳にしたことがある。

いずれにしても、そういった背景があるにしても、今回ボクたちが受けたもてなしは、とても感謝もし、嬉しいことではあったが、しかし同時に過分なものだった。
またひとつ、一飯の義理を負った。

そして、昨年の暮れのボクたちの会社の引っ越しの際、赤坂の超一等地に移転することが出来たのも、この銀行の力添えのお陰だった。
有難いことだが、すでに一宿の義理も負っている。
一宿一飯の義理が生まれている。

古臭いと言われるかもしれないが、この恩に応えるためにも、ふんどしを締めてかからなければならないと真剣に考えている。

   「おいらには かかわりねぇーよと 義理人情」


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