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「絶滅危惧種だからなあ」

レーサーの横田紀一郎さんが訪ねて来られた。
「うわあ、懐かしいなあ。お久しぶりです」ボクは思わず声を上げた。

過去に何度もお会いしているし、年賀状のやり取りは毎年欠かすことはなかったが、十年振りの再会になる。
「死ぬまでに一度あなたの顔を見ておかなきゃ、と思いましてね」と真っ黒な顔に笑みを浮かべた。

横田さんは、あの過酷なパリ・ダカールレースに日本人として最初にチャレンジした人物である。
12回参戦し2回優勝している強者だ。
走りに走り続けて、今年で78歳になる。

現在は「自動車環境評論家」と名乗っているが、バリバリの現役で、昨年の2月~3月にパリ・ダカール間10000キロをトヨタのハイブリッドカー、プリウスPHVで走破することに成功した。

ボクはトンと車にうとく知識ゼロなのだが、ハイブリッド車が、ガソリンで動くエンジンと電気で動くモーターを搭載している車で、電気モーターがエンジンをサポートして走るため燃費がよく、排出するCO2が少ないので、環境への影響も小さくなる、ことは知っている。
しかし、パリ・ダカール間のうち7000キロは砂漠地帯で途中に充電所も給油所も無いので、その間をどう対応するのかに、このチャレンジの意味と凄さがあった。

10000キロとひと口に言っても簡単には分からない距離だが、東京から直線距離でアメリカのシカゴまで、フランスだとマルセイユまでだというとんでもない距離である。
そんな説明をしても、ますます分からなくなるばかりの長い距離だが、喜寿を過ぎた後期高齢者がそんな長距離を、自ら車を運転し、その車で寝泊まりしながら移動するのだから、想像を絶する苦難の長旅だったろう。

そしてこの旅の模様をライブで配信した。
横田さんはトヨタに交渉して、この企画を実現させたのだった。

これまでに、トヨタプリウスでアメリカ大陸横断、ヨーロッパ一周、サハラ砂漠横断、ユーラシア大陸横断、南米大陸縦断、オーストラリア一周を初めとして数え切れぬほど世界中をくまなく巡り、これまで10万キロを走ってきた。
延べにすると、地球を6回り半も走っている勘定になるというのも、そりゃあそうだろうねと、うなずける。

ボクみたいな軟弱でひ弱な人間にとっては、想像するだけでも気が遠くなる冒険で、10時間も飛行機に閉じ込められるのは大変だから、海外旅行には行きたくない、などとは、この人の前では口が裂けても言う訳にはいかなくなる。

それに彼が凄いのは、世界を走り回わり、諸々の世界の最先端情勢に通じていることである。
特に車社会を中心としてそこから見た世界の国々の変化や発展、その対応の形には驚くべき情報が多く、覚醒させられる。
インターネットでは得られない生の、しかも的確な視点に基づいた情報がある。

さらに驚かされるのは、横田さんは、次に到来するであろう新しい車社会を予測し、ヨーロッパでの動きに注目し、それを模索するための冒険的、車での旅を今年の夏に実行する計画を立て動いている。
その根底に環境問題への提言がある。
自らを「自動車環境評論家」と称している意味が理解できる。
次々にアイディアを生み出し、それを実践している、とんでもなくエネルギッシュな高齢者だ。

「お金にはなりませんけどね。髪も薄くなってきたしね」と毛糸の帽子をわざわざ脱いで頭を撫でた。
「いやあ、いい顔をされてますよ。闘う男の顔をしてる」とボクは応えた。

「会社設立30年ですか。良くがんばってるわ」と引っ越したばかりで、まだ内装も新しく、以前のオフィスよりも少しは見栄えの良くなった社内を見まわしながら横田さんは言った。
そして続けて「あなたも、絶滅危惧種だからなあ」
「ははは……絶滅危惧種ね。それにしても、お互い『絶滅危惧種』は良かったなあ」と二人で大笑いした。

   「楽しみて なお楽しみつ 絶滅種」


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繁殖種
レーサーの横田紀一郎さんは、僕が日本自動車連盟(JAF)にいた頃から、活躍されておられた方です。
小田さんの記事を読んで、いまなお現役で活躍しておられること、小田さんと昔からの知己であることに驚きました。

レース、ラリーは、白人のスポーツです。黄色人種の日本人が勝つと、勝てないようにルールをかえてくるような世界でした。

ある有名女性タレントが、レース・カーに同乗し、コースを数周してピットに到着しても降りてこないのです。失禁して、降りられなかったのです。

その過酷な世界で、78歳のいまなお、善戦を続けられていることを知り、ただただ驚いております。

「楽しみて なお楽しみつ 絶滅種」ではなく、「繁殖種」ですね。
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