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市原悦子さん逝く

めでたい新春早々にあまり相応しくないお話になってしまうが、女優の市原悦子さんの訃報が届いた。

改めての説明は不要だとは思うが、「家政婦は見た」や「まんが日本昔ばなし」などであまねく知られる女優である。
あの独特で軽妙な語り口は一度聞くと、いつまでも耳に残って離れることは無い。

市原さんは俳優座の養成所からのたたき上げで、若くして主役に抜擢されて活躍した才能溢れる舞台女優である。
舞台で歌い、踊り、見事な演技力を発揮し活躍した。
後に独立して映画やテレビに進出して人気女優となった。

ことに彼女の朗読は多くの人たちを魅了した。
ユーキャンから出版された日本や海外の名作小説の朗読シリーズCDをわが社で制作したが、そのメインを市原悦子さんに引き受けていただいた。
このシリーズは、つい最近まで10年間の永きに渡って制作が続いたが、奇しくも市原さんが体調を崩されるのと時を同じくするようにして、中断の形となった。

そのシリーズでは、市原悦子さんを中心に、林隆三、橋爪功、山寺宏一、三上博史、草刈正雄、夏木マリ、柳家花緑、市毛良枝、麻生裕未、谷村美月を初めとして、23名の達者な俳優や声優さんたちに出演して頂いている。
林隆三さんはすでに故人となられた。

また4年ほど前に始めた、わが社としては初めてのラジオのレギュラー番組「暮らし百景」も市原悦子さんの朗読の魅力を遺憾なく発揮するものだった。
このシリーズは一年半続いた。

テレビ番組でナレーションをお願いすることもあり、市原さんはボクたちの会社にしょっちゅう訪ねて来られていた。
ボクがこよなく敬愛していた脚本家の早坂暁さんの作品には市原悦子さんは欠かせない女優で、早坂さんは彼女を想定してのドラマの脚本の構想も持っておられた。

ボクは早坂さんの原点にある四国遍路をテーマに市原悦子さんと組んでドラマドキュメンタリーを実現したいと願い、早坂さんと市原さんらと何度かの話し合いをし、企画書の形にまでして動いたが、残念ながら時間切れとなり実現出来なかった。
その早坂さんは一昨年の暮れに、そしてその1年後、後を追うように市原さんも帰らぬ人となってしまった。

もう4年近く前になるか、渋谷の文化村の大ホールで西城秀樹を招いて公演した市原さんの朗読劇を観劇したが、その時は数曲の歌も披露された。
その公演の感想をこのブログで書いたと伝えると是非読ませろと言うのでコピーして見せると、やおらメガネを取り出し、「うふふ」と笑いながら読み終えたが、特別の感想は無かった。
彼女の歌をお世辞にも上手いとは言えないが、市原さんが歌うから、それが良いのだ、と書いたのがもしかすると気に入らなかったのかもしれない。

昨年の春3月に行ったわが社の設立30周年のパーティーには、体調が悪く出席して頂けなかったが、声のメッセージを送って下さった。
「あるところに、オルタスジャパンというプロダクションがあるそうな………」と「まんが日本昔ばなし」の、あのお馴染みの口調が流れて会場は沸いた。
それが市原悦子さんの声を聞く最後となった。

市原さんは偉ぶることもなく、とても気さくで親しみの持てる愛らしい女優さんだった。
地味だが大女優だったと思う。

本当につい最近まで、春になれば復帰する、と強い気持ちを持っていると伝え聞いていた。
市原さんと約束していた、やりたい企画があった。
本人も望んでいただけにとても残念である。
惜しい人をまたひとり亡くした。

青山葬儀場の通夜の会場は故人との別れを惜しむ人たちで溢れていた。
享年82歳。
大女優のご冥福を心よりお祈りしたい。

      「大寒や また星ひとつ 通夜の列」


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