FC2ブログ
ホーム   »  未分類  »  日替わりの街・赤坂

日替わりの街・赤坂

赤阪に会社を置いて30年近くなる。

住んではいないが、一日の大半を過ごしている場所なので慣れ親しみ、外から赤坂の街に戻って来ると、ほっと安堵感を覚える。
すっかり自分の居る街という感覚になっている。
しかし、この30年で赤阪も大きく変わった。

ボクたちの会社のある三筋通りの外れの一角は、以前はリトルソウルと称されていた所で、韓国系のお店が多く、居住する韓国の人たちも沢山いた。
とにかく猥雑な街で、会社を訪ねて来るお客さんたちは一様に
「良い所に会社がありますね」
と褒め言葉とも何とも受け止め難い微妙なニュアンスの言葉を口にするが、ボクがとても気に入っている土地柄だ。

現在も韓国系のお店が目立つが、以前に比べると少なくなった。
韓国人ばかりでなく、一時はアフリカから来た黒人たちが多い時期もあったし、インドの人たちも多くいた。
ロシアの美女たちが席巻する時期もあった。

そして今は、圧倒的に、中国からの出稼ぎに来ている女性たちが多い。
そんな中には、モンゴルからの人たちも大勢いる。
赤坂は人種のるつぼでもある。
とても楽しく面白い街なのだ。

建物も半分以上は建て替えられているのではないかとさえ思える。
一時は多かった料亭の多くがその姿を消してから久しいが、昨日までの八百屋がいつの間にかネットカフェに変貌するし、洋服屋がレストランになっている。
和装小物店舗が洒落た高級洋菓子店にという具合に次から次へとひとつのお店が潰れては間を置かずに新しいお店が出現する。

近頃はホテルが異常に増えている。
パチンコ店が無くなったなと思っていると瞬く間にホテルに様変わりしている。
本当に目まぐるしく、お店が出来たと思えば無くなっていて、その変遷ぶりはまさに日替わりの感がある。
久々にランチを食べに行くとすでにお店が無いといった具合である。
とてもその変化とエネルギーの凄まじさには付いて行くことができない。

赤坂の街の実態がどうなっているかは分からない。
誰がこの街を仕切り、これ程までのエネルギーを産み出しているのか等についても知らない。
あくまでもボクは傍観者で、ただ街の外観を見ているこの街に生きるひとりだ。

つい先日、取引頂いている銀行の営業の方が来られた。
「今年も新入社員を採用されたようですね」とベテラン銀行マンは、話の水を向けた。
「おかげ様で3人が来てくれました」とボクは調べものをしていた新入社員たちを呼んで来て紹介した。
「良い会社に入社されて良かったですね」と銀行マンは新入社員たちに語りかけた。

「私たちは、ただ、こちらのものをあちらに動かすだけの仕事ですが、あなた方は何も無いところから、新しいものを創り出す訳ですから、大変だけれど面白くてやりがいのあるお仕事ですね。その意味で、私たち銀行とは対極にあるお仕事ですね」
さすがは大企業のベテラン社員だ。
誇りを隠し、謙遜を込めて相手を持ち上げてくれる。
新入社員の3人はいきなり銀行マンに紹介されて戸惑いつつも、うんうんと頷いている。

「先日、盛大な30周年のパーティーを催されましたが、立派なものですよ。昭和、平成に誕生した企業で、今現在、生き残っている会社は5~6%もありません。私どもの支店で800社ほどとお取引をしておりますが、昭和生まれの会社は、数えるほど僅かしか残っていません。30年続いているのは大した会社です」

旧財閥系のメガバンクのこの営業マンは、ボクたちの会社の過去の業績を綿密に分析してくれていて、特別に依頼している訳ではないが、コンサルに近いアドバイスなどもしてくれている。

「設立10年位ではまだまだ危うい。でも30年続けば大丈夫です。石垣を土台からしっかりと積み上げているのと同じように、なかなか崩れることはないのですね」
まるで新入社員たちの研修をしてくれているようだな、とボクは感謝する思いだった。
「余計なことを申し上げましたが、どうぞがんばって下さい」と銀行マンは新入社員たちに言った。

銀行の営業マンと云えば、先日、別のメガバンクの営業担当者が挨拶に見えた。
まだ入社して2年目の若者である。

ところで、ボクたちの会社はメガバンク三行と取引させて貰っているが、各銀行によって担当営業マンの年齢にそれぞれ決まった特徴があるのが興味深い。

入行2~3年目と決めている銀行、30代~40代前半の中堅の銀行、ベテランを配置する銀行、と各銀行によって方針が決められているようだ。
取引会社のクラスによって分けられているのかどうか、その理由は分からないが、永年、同じ形であるのが面白い。

その若い銀行マンによると、彼の銀行ではこれまで毎年2000人ほどの新入社員を採用してきたが、最近ではリストラが盛んに行われ、新人採用も1000人規模に減ったという。
そして、途中で辞めて行く若者たちが多く、3年後まで残っているのは100人ほどになるとのことだった。

「ところで、あなたは大丈夫ですか」と聞くと「私はがんばるつもりです」とまるで面接時のような調子で真面目な答えが返ってきた。
銀行も昔と違って様変わりしたようで、色々と改革も迫られているようだ。

世の中は良くも悪くもどんどん変化している。
その変化に対応して人びとの考え方や行動も大きく変化する。
それがまた世を変化させる。
そのスピードはボクたちの想像を絶する速さで進んで行く。
下手をすると置いてきぼりになるのではないかとの恐れが、さらにそのスピードを加速させて行く。

赤阪の街に存在する何百、何千とあるお店や会社も同様にそのスピードの渦に巻き込まれながら必死になって泳いでいる。
そして、泳ぎ疲れた時に消滅する運命だ。
しんどく、切ないけれども、それが面白く、また楽しい。

灯っては消え、消えては灯る赤坂のネオンの街は生き物のようだ。
そして、それは人生の縮図にも映る。

だから、とボクは思う。
ネオンの灯りの無い処では、ボクは暮らすことは出来ないと。
ボクは赤坂の街が好きだ。

   「駆ける街 命背負いて 春の風」


にほんブログ村 テレビブログ ドキュメンタリー番組へ にほんブログ村 テレビブログ プロデューサー・ディレクターへ 人気ブログランキングへ

ブログランキングに参加しています。クリックをお願いします。




関連記事
Comment
Trackback
Trackback URL
Comment Form
管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

馬鹿社長

Author:馬鹿社長
【小田昭太郎】
株式会社オルタスジャパン代表取締役

★ホームページ★

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR