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ディレクター誕生物語

いまわが社に、世間の一部から注目を浴びているディレクターがいる。
姓は関、名を強、関強という中国国籍の漢民族の男だ。

昨年、第32回「ATP賞テレビグランプリ2016」優秀新人賞を受賞し、つい先日、「Tokyo Docs 2017アジアドラマティックTV賞」を受賞した。
入社して4年目になる若手のディレクターである。

中国の北京首都師範学校を卒業し教師の免状を持っている。
卒業後、教職の道には進まず中国中央電視台(CCTV)に就職してカメラマンとなる。
中央電視台は日本ではNHKに相当するテレビ局である。

そこで日本のテレビ関係者との出会いが生まれ、来日することになる。
日本語の専門学校で2年間学び、東京造形大学の大学院で映画を専攻する。

ボクの親しい業界の先輩から、面白い男がいるので紹介したい、と勧められ会った。
まだ日本語もたどたどしかったが、意志の疎通は充分できた。

彼は、映画を撮りたい、と熱っぽく語り、大学院の卒業制作で作った作品を携えていた。
どういう内容かをひと口では説明できない内容で、粗っぽい作りだったが、ユーモアもあり、またシリアスでもあり、正直に言うと何を伝えたいのかはボクには未だに分からないのだが、作り手の熱い思いや映像へのこだわりが伝わってきて、特別の才能を感じ取ることができた。

丁度、新入社員の採用を間近に控えていた頃でもあったので、ボクは彼の採用は密かに決めていたのだったが、手続きを踏んで正社員として入社させることにした。
当時の彼の履歴書の志望、特技の欄には「カメラ、美術、編集」とあった。

彼の採用を決めたのには、彼の卒業制作作品で感じた才能と大陸的な茫洋としたスケールの大きさに惹かれたこともあったが、もうひとつ理由があった。

卒業制作の制作過程で制作費が不足し、お金の捻出に相当の苦労をしたらしい。
食べるものから何から節約し制作費につぎ込んだが、それでも足りず、そのうち、住居の電気やガス、水道代などの支払も滞り、やがて電気、ガスが止められてしまう。
水は究極の生命線なので、水道だけは止められないで済んだという。
真冬に凍るような冷水でシャワーを浴びて過ごした、と彼は淡々と笑みを浮かべながら語った。

ボクを含めて、いまどき、ここまでして、自分が表現したいと思い、実際に番組や作品を制作し続ける作り手はそうは転がってはいない。
本物の作り手馬鹿に出会えたことがボクはとても嬉しかった。

スタッフの中には、日本語が伝わり難いからなどの理由で、彼の採用について疑問を呈する者もいたが、そんな些細なことは問題ではなく、ボクはそういう意見は無視し続けた。

彼は現在、フジテレビの「NONFIX」という番組で「ボクが見た中国」シリーズを作り続けている。
これまで4作品を放送し、いま次のテーマの企画準備に取り掛かっている。
これまで受賞したのはこれらの番組に対しての評価である。

10月20日に渋谷のLOFT9で彼の作品の有料上映会が行われた。
「ボクが見た中国」シリーズのうちの二つの番組で「風花雪月~ボクが見た祖国・性の解放」と「花好月円~ボクが見た、中国のお金と欲望」である。
雨の降りしきる中、ボクも会場に足を運んだが、100人近い人びとがわざわざこの番組を視るためにお金を払って集まって来たのには驚いた。

ボクはわが社で制作し放送した番組のほとんどすべてを視ているので、当然これらも視ていたのだったが、改めて大きなスクリーンで視るとテレビの画面とは違った印象が新鮮だった。
そして、上映した二つの番組は、大きなスクリーンでの鑑賞に十分耐えうる力を持った作品であることに改めて気づいた。

この上映に向けて、A4版の雰囲気のあるチラシが配られていたが、そのデザインは関強のものであったことを知った。
そういえば、彼の履歴書の特技の欄に「カメラ、美術、編集」と記されていたことを思い出した。

ボクたちの会社では、それぞれがそれぞれの持ち場で懸命に仕事に打ち込んでいる。
そしてそのそれぞれ誰もが、独自の才能や特徴を持っている。

スタッフは会社の宝だ。
出来うる限り、その才能を生かし、それぞれが興味を持って楽しく仕事ができるようにと心を配り願っているが、実際はどうだろうか。

今週から、スタッフ全員ひとりひとりと個人面談することに決め、実行に移している。
改めて、スタッフの考えを知り、その個性を生かしたいと考えたからである。
とにかく楽しく、愉快に仕事に取り組める環境の場を作ることがボクのもっとも大きな役割である。

    「色、異なれど目指す所変わらず 色、異なればなお面白し」


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