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身近に見た中国の発展

日頃テレビや新聞、ネット等々で見聞きする中国の経済発展には驚いてばかりいるが、今日は極々卑近なボクの身の回りの中国についてお話したいと思う。

いきなり話はそれるが、中国と云ってボクがまっ先に思い浮かべるのは、馬を食う巨大な怪魚「大紅魚」だ。
いつだったかこのブログにも書いたことがあるが、30年近く前、ボクたちがオルタスジャパンを立ち上げたばかりの頃のお話である。

世の中はまだバブルの中にあり、日本国中にお金が舞い飛び、浮かれに浮かれ、毎日がお祭り騒ぎで、ボクたちの会社がある赤坂の街も連日明け方になるまでタクシーを捕まえることが出来ないほどに賑わっていた。
処理に困った大金が金庫ごと竹藪に捨てられてあった、などの信じられないような類のニュースが日常的に流されていた。

そんな雰囲気の中でボクたちは、新会社の設立に相応しい、世間をあっと驚かせるような企画がないかと懸命に探していたのだったが、そんな時に舞い込んできたのが「大紅魚」の企画だった。

中国の新疆ウイグル自治区の山深い秘境にハナス湖という湖があり、そこに体長10メートルを越える淡水魚が生息している。岸辺に水を飲みに来た馬をその淡水魚がひと呑みにするのを見たという者もいる。地元ではその赤い姿の淡水魚は「大紅魚」と呼ばれている、と云った内容である。

ボクたちは会社立ち上げをこの企画でいこう、と決めた。
早速、企画書を作り当時もっとも勢いのあったフジテレビに持ち込んだ。

フジテレビも大いに乗り気になってくれて話はトントン拍子に進み、事業局も乗り出して来て怪魚を捕獲して展示の興行も打とうということになり、番組の制作費だけでも3億円を約束してくれた。

ボクたちは新疆ウイグル自治区政府と渡りをつけ、遠路、政府庁舎を訪ねる。
当時はまだこの地を訪ねる日本人は珍しく、数人の副知事たちや科学院の院長をはじめ多くの役人たちと会合し、撮影取材の許可を得て正式に契約書を取り交わした。

科学院の院長も気さくな良い人で「大紅魚はいますよ」と太鼓判を押してくれた。
科学院院長と云えば日本なら、さしずめ科学技術庁長官に当たるのだろうか、あるいは文部大臣か。
契約を取り交わした夜は庁舎の迎賓館で大勢集まり豪勢な大宴会が催され、ボクたちは来賓のような待遇を受けた。

ボクたちは意気揚々と東京に戻りフジテレビにそのことを報告し、その足で三重県の鳥羽水族館に行き「大紅魚」の話をすると、館長も大いに興味を示して、「大紅魚」の子どもかあるいはその卵を是非高額で買いたいと商談が即座に成立した。
確か1500万円だったと記憶している。

ボクたちの新会社の船出は順風満帆のように思えた。
しかし、好事魔多しである。

待てど暮らせど科学院からの撮影取材に必要な招待状が届かない。
問い合わせても何だか埒のあかない返答ばかりで話が一向に進まない。

ボクたちは再度ウイグル自治区に赴いたり、北京の中央政府の科学院を訪ねたりしたのだったが、この間の工作費等々で会社の資本金のほとんどを使い果たして、結局は幻の「大紅魚」に終わってしまったのだった。

今から振り返れば、あれは一体なんだったのだろう、とも思うが、一種の流行熱に浮かされたバブル時代ならではの笑えない笑い話である。

現在の中国の経済発展を見聞きしていると、30年ほど前の日本のバブル時代を思い出さざるを得ない。
さらにそれ以上のスケール感がある。

先日、信頼できる知り合いを通じて、日中合作映画の企画話が持ち込まれた。
中国で20億円ほどの資金が準備されているのだが、わが社をその資金の受け皿になってくれないかというものだった。

話は具体的だったが、相手はバブルの中国である。
「大紅魚」の痛い経験もあるし、それ以降にもテレビ番組での中国との合作の話も何度かあり、必ずしも上手い話という訳でもなく難航したこともあったので慎重になる。

今回も調べてみるとどうも怪しいということになり、その話はお断りしたのだったが、とかくお金が動く所には怪しげで危ない話がつきまとう。

ところで、5月の連休を利用して、妻と娘たちが中国に里帰りした。
ボクは都合があり留守役を引き受けた。

妻は中国国籍の朝鮮族で、親や兄弟姉妹たちの多くが天津に住んでいる。
10年ほど前までは、特別に豊かという訳では無かったのだが、今では妻の一族はみんな金持ちになった。

6年ほど前にボクも天津の義姉夫婦の家に何日間か滞在した時、バスルームが3つもある豪華マンションで驚いたが、今度、妻たちが行ったところ、以前はトヨタのプリウスに乗っていた義兄は2000万円はするベンツに、それまで運転免許を持っていなかった義姉がポルシェを颯爽と転がし、義姉夫妻と同居を始めた30歳そこそこの彼らの娘夫婦もそれぞれ一台づつポルシェを持っていた。

ボクが6年前に会った時は、こまめに家庭料理を作り、1日中静かに刺繍をして暮らしているような模範的な家庭の主婦然とした義姉だったが、まるで別人に生まれ変わったように、年に何度も女友だち等と連れ立って海外旅行に出かけたり、暇があると登山に出かけたりと飛び回っているらしい。
義兄は義兄で、事業の傍ら、好きな麻雀をしたり、友だちと遊んだり好きに過ごしている。

義妹夫婦も豪華マンション暮らしで、6年前に500万円で買っておいたマンションが今年8000万円で売れたよ、とまるで世間話をするかのように話していた、という。

そして、その後新たな物件を手に入れたが、一平方メートル2000元で買った土地がすでに12000元になったと自慢しているのを聞いて、妹も昔と同じ人間とは思えないと妻は驚いている。
とにかく、中国の人たちはみんな集まると必ず投資や不動産やお金儲けの話に終始するみたいだと妻は土産話代わりのように語った。

「なんだかがっかりしたよ」と娘も同調した。
「私にあるイメージの中国が無くなってしまったみたい」

娘は6歳の時に単身で中国から両親の居る日本に渡ってきた。
両親は娘よりも1年ほど一足先にすでに日本に来ていた。
渡日してから初めて日本語を学んだ幼い娘は、それなりの苦労も体験し一流の大学も卒業し、日本の文化にもかなり馴染むことが出来てきたようだ。

現在30歳になる娘にとっては久しぶりの故郷来訪だったのだが、懐かしいはずの故郷に違和感を持ったようである。
「大気汚染にも耐えられないし、羽田に着いて日本の空気がとても美味しいと感じた。人の感じも変わってしまったし、私の中国は無くなっていた。あと10年は行かなくても良いわ」と吐くように感想を述べた。

そして娘が何よりも感じたことは、お金が人を変えてしまうことへの驚きだったようである。
妻の姉妹たちの感じが以前と変わったと思えたようである。

「お金って人をこんなにも変えるのかなあ、って感じ」と娘は言った。
「叔母さんたち一家も、みんなそれぞれが好き勝手にバラバラに生きている様子で、家族の一体感が無くなっていたよ。以前はいつも仲良く一緒に暮らしていたのに」

これに類する話は他にも多く聞いている。
妻は中国在住の中学時代の恩師と、ネットのおかげで何十年振りかで連絡がとれるようになった。
恩師の奥さんが事業に成功して大金持ちになり、豊かな暮らしが始まった途端に奥さんの浮気が始まり、寂しい思いの恩師が余りにも頻繁に妻にメールを送って来るので、初めのうちは再会を喜んでいた妻も今では煩わしくてたまらないと愚痴をこぼしている始末だ。

古くから言い伝えられている通り、人の欲望に限りはなく、突然舞い込んできた経済的豊かさの変化に人は本来あるべき自分の姿を見失ってしまうようである。
それが良いことなのかどうかはボクには分からない。
自然なことのようにも思えるし、また愚かで悲しいことのようにも思える。

世の中は無常である。
一時の豊かさは必ず突然、嘘のように去っていく。

バブル時代を体験した日本人の多くはそれを知っている。
賢い妻の一族は、かつてボクたちがそうであったように、そのことを理屈では分かっていても、実感することは難しい筈である。

経済的豊かさで得るものと失うものの大きさは経験しなければ本当には理解できないのかもしれない。
幸せの在り処は永遠の謎である。

        「言い訳は だから貧しく なきゃならぬ」




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「悪性インフレという地獄」
小田さんの記事を読んで、最初に頭をよぎったのは、息子(46歳)の「オヤジの世代は良いよな。バブルの時代も謳歌できたしーー。俺なんか仕事の値段が下がる一方❗️」というボヤキでした。
資産価値は上がる、給料は上がる、楽しみは増える、企業は、スポーツ・文化・技術などへの資金提供を旺盛にやる、テレビへの豪華な番組提供などなど、すべてが「快の信号」であり、「バブルの何が悪いんだ❗️」は、もっともな言葉です。

ただ、バブルの先には「悪性インフレ」という地獄が、間違いなく口を大きく開けて待ち受けているのです。

「悪性インフレ」の前例として、ロシアでは昔、1年間に物価が70倍くらいになったことがあります。100円のパンが一年後に7000円になったのです。
ジンバブエでは、1年間に200万倍以上という記録があります。100円のパンが一年後には2億円になったのです

いま、インフレ率の高い国は、南スーダンの379.849%、1%以上の国が116ヵ国あります。
ちなみに日本は、−0.113です。

「インフレ」と「デフレ」をコントロールするのは、中央銀行ですが、その指標は、「物価上昇率」「経済成長率」「貨幣の流動速度」の三つです。

小田さんの記事にある中国は、シャドウバンキング(銀行外の資金源)が巨大化してしまい、中央銀行である中国人民銀行が、この先に待っている「悪性インフレ」をなんとか回避しようと躍起になっているのですが、どうにもならないのです。

京香さまのご兄弟が、「最後のババ」を握らないように切に祈ります。
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【小田昭太郎】
株式会社オルタスジャパン代表取締役

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