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ある営業スタッフの世界旅行

ボクたちの会社にはたった一人だが営業担当専門の女性スタッフがいる。
そのスタッフSは、歳の頃は40代の半ばを過ぎているが、未だ独身である。

その昔、さる有名劇団に所属していたと云うが、巫女や占い師の役をやればぴったりするような、少しばかり妖しい雰囲気を持つ個性豊かな女性である。
入社して8年ほどが経つ。

ディレクターとして中途採用し、プロデューサーの任にも就いたが、程なくわが社では初めてとなる営業担当に配置した。
とても真面目で、仕事に前向きで、物怖じしない積極的な性格をしている。
その反面、潔癖で、彼女独特の筋の通し方というものを持っているので、ややもすると、それが周囲のスタッフとのトラブルの原因となることもある。

意思伝達の表現があまり上手でないので、誤解を招くような面もある。
しかし、無くて7癖、有って48癖という言葉もある。
誰にも、五つや六つ位の弱点はあるし、その方が人間らしくて良い。
それも個性の内だとボクは思っている。

わが社には三つの部があり、制作部と業務部とは別に企画実現部という部がある。
当初は、企画推進部と称したが、実現部の方が積極的で良いだろうと判断し改称した。

10数年前から、それまで余り重要視されていなかった著作権の価値が見直され始め、またテレビ局の制作費の大幅カットが始められた。
そしてまた、企業などの提供スポンサーの中にも、大手代理店が大きな利益を取り過ぎていることへの疑問の声の高まりなどがあった時期である。
NHKにも外部からの資金を調達して番組制作をしようとの動きがあった。

そんな時代状況の中で、それならば、ボクたちプロダクションが直接お金を出してくれる企業と渡りをつけて、スポンサーを確保した上でテレビ局に企画を提案し、著作権も手にして二次展開していこうと企画実現部を作ったのだった。

担当部長を決め、何人かの外部スタッフ等の力も借りつつ、かなりの力を投入して取り組んだのだったが、当初に目論んだようには上手く事は運ばなかった。

途中まで話が進んだかに思えた大きな案件もいくつかあったのだが、結局は挫折することが続いた。
行く手を阻んだのは代理店だった。

つまり、ボクたちの動きは代理店の既得権を冒すことになる訳で、それほどに大手代理店の力は巨大だった。
ボクたちは直球勝負で攻め過ぎて、手練手管に欠けていたことは否めない。
力不足だった訳である。

こういった動きを模索している時期にSを企画実現部に配属したのだったが、Sは当時ブームになり始めていたペットに目をつけて、ペット関連の番組の実現のために奔走した。

そして、テレビ番組やネットを含めていくつかの企画を実現させたのだったが、Sがそのために訪問した企業の数は200社や300社ではきかない。
そのリストを見てSの行動力に驚いたものである。

論理的な戦略や戦術の下に設計図を描き、それに基づいての計画的動きではなく、猪突猛進の突撃隊長のような営業活動なので、結果を出すのに苦労しているが、とに角、その行動力においては評価に値する。
世間の常識にある営業とは形が異なるので、その努力が空を切ることも多いが、もしかするととんでもない大きな玉を掴むかもしれないとの期待感を生む。

会社では春にはお花見を、暮れには忘年会をしている。
これは会社設立以来の大切な恒例行事にしているが、Sにテレビ業界だけではなく異業種の人たちにも声を掛けてくれと頼んだところ、それこそ、さまざまな業界からの人たちが参加してくれるようになった。

これまでにSが築いてきた人脈は、ボクの想像を遥かに越えていて、とんでもない大企業のトップと繋がっていることが分かって驚くようなことも少なくない。

Sはまた、イケメン獣医の佐藤貴紀先生を見出して番組にも登場して貰っている。
この5月からある大手企業のテレビコマーシャルで全国デビューすることになっているが、佐藤先生はわが社がマネージメントするタレント第一号である。

ボクたちは大小数えれば年間150本以上の番組を制作しているが、海外取材も数多い。
常時誰かは必ず海外に出かけている。

しかし、ボクたちの会社でSほど色んな国を訪ねているスタッフは他にいない。
しかも、飛行機に乗って行くのではなく、電車で行く。

実は、Sは各国の大使館の観光局をくまなく歩いているのだ。
カナダなどを初めとして自国の観光PRに力を入れている国々は多い。
そんな国々とのタイアップの可能性を求めて足を使っている。

Sの動きは多岐に渡り、無手勝流だが誠実な営業スタッフである。
Sには型にはめず自分の好きなように泳いでもらっている。
ただ、制作スタッフが中心のプロダクションの中で、企画実現部の存在はまだまだ理解され難い。

年間の売上もここにきてそれなりの実績を上げ始めているのだが、制作スタッフに十分に認知してもらえていないのが現状だ。
営業と制作部との感覚のズレの補正がこれからのボクに課せられた宿題のひとつである。

ところで、ドキュメンタリーに限らず、番組を作りそれを通して自分の持つ何かを伝えたいと考えている人たちには、自我の強い者が多い。
実際、自己主張や自己表現のできない人には番組は作れない。
だからボクたちの会社でも、そういった個性の強い人たちは多い。

もっとも、10人10色との言葉もあるようにどんな人にもそれぞれ多様な個性があるのは当然で、どんな業種の会社でも同様であろうとは思うけれど、特に表現物を作る仕事では、そんな個性が生かされる現場でなければならないと考えている。
個性とは、ある意味、才能と同義語であるのかもしれない。

そして、これもまた当たり前のことだが、自我と自我はしばしば衝突する。
しかし、そんな多くの個性の集まりである制作プロダクションだが、そこに共通しているのは、元来、番組をつくることが好きで、その番組が少しでも視聴者を含めた多くの人に分かってもらったり、楽しんでもらいたいとの強い思いである。

この共通した目的のためには、それぞれの形は異なれど共通の言葉が生まれ、多少の障害は乗り越えられるし、意思はひとつに収斂できる筈である。
制作と営業とはその立場から来る多少の乖離があるが、理解し合えれば新たな力を生む。

営業部門は、わが社ではまだ試み段階の分野である。
しかし、そろそろ、このセクションに、積極的に人材を補充して本格的に稼働させる時期が来ていると感じている。

この4月から5名の新入社員がスタッフに加わった。
そして5月から更に2名が加わることになっている。
みんなが楽しく働ける会社を目指して、もうひと踏ん張りがんばることとしよう。
 
       「やって来た 新しき仲間 桜と共に 」 



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