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天皇制という不思議な制度

かつて右翼の野村秋介さんと天皇制について話したことがある。

野村秋介さんは、横浜の愚連隊だったが、民族主義に傾倒し、自民党の衆議院議員だった河野一郎邸焼き討ち事件で12年間服役、さらに経団連を襲撃して6年間服役した。

そして刑期を終えて娑婆に出て間もなくの頃に、まだテレビ局に在局中だったボクが野村さんにテレビ番組に出演してもらったことがキッカケで親しい付き合いが始まった。

野村さんにとっては初めてのテレビ出演だったこともあるが、思想信条は全く異なるとは云え、お互いに反権力という点で共感するものがあった。
元ギャングとは思えぬ知的な方で、人情にも厚く、神奈川県蒲田のお宅にしばしばお邪魔したり、飲み歩いたりした。

後に、朝日新聞社本社の社長室で、二丁拳銃で腹に銃弾を撃ち込み、いわば拳銃による切腹自殺をしたのだったが、その是非はともかく、元ギャングらしい最後だった。

当時、ボクは右翼の人たちとも親交があったが、野村さんとは心を割って話せた。
ボクは天皇制には反対で、その立場からの番組も何本か作っていた。
そんなことが許された比較的言論の自由に幅のある時代だったが、新右翼の領袖とも言われた野村さんは、そんなボクと面白がって付き合う懐の深い方だった。

少なくともボクの知る限りでは、野村さんは天皇制について「権力者の中には、ヒトラーやレーニンなど、時々とんでもない独裁者が出現する。だから日本は伝統のある天皇制を敷いてそういう連中の登場を防ぐ政治体制を選択している。そして天皇は日本の独自の伝統文化であるからこれは守り続けなければならない」と考えていた。

確かに、時代の節目には独裁者が登場し、暗黒時代を築いては滅びて行くという歴史を世界で繰り返しではいる。
しかし、神格化された絶対権力者である天皇の名の下で、為政者たちは日本ばかりでなく、近隣のアジア諸国に多くの犠牲を強いたことを考えれば、天皇制は独裁者を阻む役割を果たすことが出来なかったばかりか、かえってその権力から都合よく利用されただけのことだったことをボクたちは先の大戦ですでに学んでいる。

天皇家がそれなりに古い歴史を刻んで存続してきたことは間違いない。
そして、野村秋介さんが言っていたように、日本に古くから続いている文化、という言い方も分かる。

しかし、それが本当に文化と云える存在なのか、日本や日本国民にとって有益な存在なのかについてはボクには大きな疑問がある。
以下はそのことについて触れてみたい。

今年は皇紀、つまり神武天皇即位紀元2677年に当たるとされる。
あくまでも日本書紀の記述を基にしているので、正確な史実とは考える者はいないが、それだけ昔から続いた家柄ということになっている。

紀元前660年と云えば、弥生時代でまだ何の文献も記録もなく神武天皇そのものも実在の人物ではないというのが定説だ。
紀元前3世紀の日本列島の総人口が15万人、紀元後3世紀で60万人と云われており、そのほとんどが東日本に居住していた、そんな時代の話である。
神武天皇が在位したという紀元前7世紀と云えばそれよりももっと古い時代である。

人口が60万人程度と考えられている3世紀の古墳時代になってから、王とか大王と呼ばれるいくつかの有力氏族が連合して成立した政治政権が誕生したことは確かだ。
ヤマト王権と云われている。
このヤマトの表記は古事記や日本書紀でも「大和」ではなく「倭」で表されているようだ。

そして、飛鳥時代(592年~710年)に入り、中央集権国家の君主として天皇の名称が使われる。
従って、天皇を中心とした政権である「朝廷」との呼び名も飛鳥時代以降に使われるようになったようだ。

歴史的には古墳時代からやがて飛鳥時代に移行するのだが、西暦500年代前半、古墳時代の末期に登場した継体天皇以降からは、天皇家の系譜はほぼ正確らしいが、それまでの1000年余の系譜には不明確な点が多いとされている。

それにしても、継体天皇の頃から勘定しても現在に至る1500年余の永きに渡り脈々とひとつの家柄が天皇家として続いてきたことは驚異的なことではある。

しかし、これまで歴史上で天皇が実際に権力を振るった時代はそれほど長くはなかったのではないか。
権威としては存在したが、実際に権力を握っていたのは、藤原氏であったり、源氏や足利氏であり、織田信長、豊臣秀吉、それに徳川家だったりした。

権力者たちは、天皇のお墨付きを貰い、天皇をあくまでも権威として利用した。
その意味では、現在の象徴天皇と似ている部分がある。

そんな天皇が復権したのは明治維新によってである。
これとて、建前は大元帥でも、実権を握っていたのは為政者であり官僚、軍部だったから、実質的には、権力者の傀儡であったと言える。

それが何よりの証拠には、太平洋戦争の敗戦により、本来ならば戦争責任をとるべき最高責任者の昭和天皇がその戦争責任から逃れていることからも明白である。
色々と理由はつけても、天皇は実質的権力者ではなく、飾り物でしかなかったことを世界に向けて認めた訳である。

それが戦後は象徴との言葉に変えてそのまま存続する形をとっている。
そして、こういう構造の一番の問題点は、天皇は絶対的存在であり、国民が自分たちの意思の表明手段である選挙で選べないことである。

そしてまた、見方を変えれば、権力者たちに祭り上げられる天皇こそが、国民と同様に犠牲者のひとりであるという点である。
古くは飛鳥時代の蘇我家が実権を握っていた聖徳太子の時代から連綿と続いてきたに違いない構図であるとボクは思う。

為政者は自分たちが権力を行使し易いように、絶対的な存在を据えようと目論み、さらにその存在を神格化させることにより、いかなる者からの批判や反対をも封じ込める。
権力者の考えを天皇の言葉として伝えれば、それが神の声として絶対的命令となる仕組みである。

それこそが、昭和の暗黒時代にボクたちの祖父や親の世代が苦しめられた実際に存在した世の中である。
そして第二次大戦の敗戦から時を経た今、現在の象徴では満足できない権力者が考えそうな道筋が改めて見え始めている。
明治維新で天皇を神格化して利用したと同じ図式が見える。
維新という言葉にはそういう毒が含まれている。

そして、天皇を神格化する土台は今の日本には、すでに整っている。
初代天皇である神武天皇の始祖は天照大御神であるとの神話があり、日本人の心の隅々まで行き渡っている。

天皇は神の子孫であるとの神話であり、伊勢神宮、熱田神社、比枝神社、富岡八幡宮、住吉大社、今宮神社などなど日本各地に天照大御神を祭神とする神社は多くあるし、神武天皇を祭る橿原神宮や明治天皇を祭る明治神宮をはじめとして鶴岡八幡宮や八幡神社、白峯神宮など天皇を神として崇める神社も多い。

多くの人々が日頃から両の手を合わせ拝礼している。
信仰の対象として存在し、人々の心に刻み込まれている。
天皇を神格化するのは訳もなく出来る仕組みが日本には存在している。

こういった権力者に都合の良い天皇制という政治形態を目指すのは誰で、その目的が何であるかはすでに明らかだ。
喜ぶのは権力者たちと神社の経営者だけである。
多くの人々が必ず痛い羽目に遭うことは自明の理である。

ほんの70余年前までは、天皇や天皇制を批判する者は不敬罪の罪名でかまわず逮捕され刑務所にぶち込まれた。
言論の自由の根本が否定されていた訳である。

それと何よりも、気の毒なのは天皇家の人々だとも思う。
古代の天皇はいざ知らず、現在、天皇をはじめ天皇家の人々は権力闘争を含めて、権力の中枢にいることを願ってはいないと思う。

ボクたち国民から見れば、天皇家は権力者とそれに賛同する国民の、まるで人質のように映る。
日本国民でありながら、基本的人権をはく奪され、人としての生活をさせてもらえない可哀そうな人たちに見える。

選挙権もなければ、職業選択の自由もない。
住居を選ぶ自由さえ奪われているのだ。
世継ぎを作ることを強要される気の毒な一家である。

今上天皇は高齢になり、一刻も早い退位を望んでいるが、それもなかなかままならない。
ひとりの人間として、とても申し訳ない気持ちになる。

天皇制の社会を作りたい自民党はいざ知らず、宗教団体を背景とし、天皇制など敷くことになると困る筈の公明党や、民主党、さらに共産党までもが天皇の問題では妙にかしこまり、自由な意見が述べることが出来ないという情けない状況にある。
すでに、言論の自由を自らが進んで放棄しているとしか思えない危険な状況が続いている。
少なくとも、人道主義を標榜する国家であるならば、この一点だけでも矛盾を露呈している。

現在、安倍政権が主導する自民党は憲法改正に向けて歩を進めている。
その方向性には疑義を持っているが、この天皇の在り方を徹底的に議論し、日本の君主制を改めて共和制にしようとの方向で憲法を改正するならばボクは憲法の改正に賛成である。

      「身の丈で 生きて行こうぜ 人生は」




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