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出産を控えた女性ディレクターの決意

ここのところ、女性スタッフの出産が続きそうである。
目出度いことである。

しかし、ディレクターの仕事を続けていきたいと考えていたのに、図らずも妊娠してしまったというケースもある。
予定はしていなかったとしても、突然の天からの授かりものである子どもは是非とも生みたいし、そうかと云って仕事もしたい。
この狭間で女性は悩むことになる。

妊娠したことが分かった女性スタッフのひとりは、妊娠当初、出産したら直ぐに現場復帰する、と語っていた。
しかし、たとえ本人の意志は硬くても、子どもの存在とは、そんなに簡単なものではないことを周囲の経験者たちは知っている。

確かに、出産3ヶ月後から働き始める女性も沢山いる。
かつて中国で役所に勤めていたボクの妻も臨月ぎりぎりまで働き、出産後3ヶ月で職場に復帰したと聞いている。
しかし、それには条件があって、当時の夫の母親が朝から晩までずっと面倒をみてくれたお蔭だったらしい。

そういった面倒をみてくれるおじいちゃんやおばあちゃんと同居しているとか、お金に余裕があって誰か人を雇うことができるとか、恵まれた環境にない限り、実際は大変である。

0歳児を預ってくれる保育園などでも、厳しい時間制限がある。
また、お金もかかる。

特別に恵まれた条件が満たされれば話は別だが、それでも、番組の制作会社で通常通りにディレクターを務めることは現実的にはとても不可能に近い業である。

もっとも、ボクたちの会社には、まだ幼い子どもたちを抱えている女性スタッフが3名いる。
ただ彼女たちは、経理や制作デスクの仕事に従事していて、制限勤務が可能である。

会社で制限勤務を定め、それを守ることはできるが、ディレクター業務の場合、取材や仕上げ作業に臨んでは、取材相手の都合もあり、またテレビ局のプロデューサーの都合等で必ずしも定められた時間内で作業を終えることができるとは限らない。
長期の海外取材は別としても、一泊や二泊の出張もあるだろうし、突然の徹夜作業も避けられないかもしれない。

同じ制作現場でも、現場取材に拘らなければ、企画を考えたり、また企画書を書いたりを含めて色々と仕事はあるので、制限勤務は可能である。

しかし、直ぐに働きたいと望んでいるそのスタッフは、今までと同じレベルで仕事をしたいと考えている。
NHKスペシャルなどの大型番組を作りたいと願っている。

彼女は、3月半ば頃の出産予定だが、2月末で産休に入った。
明日から産休に入るという日、彼女は「出産後、直ぐに働こうと思っていたが、周りの人たちから無理だと言われたのでそれは諦めた。でも1年間休んで現場に復帰したい」とボクに語った。

彼女の夫も同じディレクターの職に就いている。
夫の理解と協力の上、必ず復帰するとの意気込みだ。

男女平等の世の中で、なぜ女だけが育児に当たらなければならないのか、男も女と同様に育児を担当することは当然だろう、と彼女は主張している。
それは、基本的には夫婦の間で決めることだから、ボクは介入するつもりは全くない。

最近では、めざましい女性の社会進出で、そういう考え方も社会的に認知されつつある。
あくまでも夫婦の問題であるし、出産や育児に対する社会の支援の形も整備されていけば良いと考える。
ボクも会社の代表として、職場復帰のための便宜や協力を惜しむつもりはない。
できるだけのことをしようとの決意はある。

とにかく、その女性スタッフは一生懸命に番組の制作に取り組んて来たし、とても熱心で、会社にとっても頼りにしていた人材だったので、妊娠したと聞かされた時は、祝福はしたが正直、残念な思いも同時に強かった。
それだけに、彼女が戻って来てくれることを心から望んでいるのだが、果たして彼女の目論見通りに復帰できるかどうかへの懸念はある。

一般論で云えば、子どもを生めるのは女性だけの持つ能力であり特権だし、母乳を与えられるのも女性に限られている。
例外があるかどうかは寡聞にして知らないが、哺乳動物は、子どもが独り立ちできるまで、雌が育てるのが通例である。
こういった自然の営みは恐らく永い間の理屈に沿って、今ある形が作られてきたのだろう。
いわば自然の摂理である。

この仕組みを人間が変えるのは別に悪いとは思わないが、自然の摂理に逆らう訳だから、どこかに歪を生ずることは必然である。
余程の覚悟が必要と思われる。

職場復帰を願う女性スタッフ夫婦は、これに果敢にチャレンジしようとしている。
自分の意志を持ち、既成の慣習や流れに逆らい立ち向かう生き方は、ボクは好きだ。

この夫婦を全面的に応援するつもりだが、果たしてどういう結果になるか。このカップルの強い意志が試される。
まずは静かに見守ろうと思っている。

   「春だ春 赤子運んで 春が来る」




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