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仕事の向き不向き

世の中に職業の種類は、どれほどあるのだろう。
労働省編職業分類によれば、およそ2万8千の職業に分類されているとも聞くが、そんなに沢山の職業があるのかと驚く。

ボクたちの会社でも、3月になれば来年の新入社員の採用募集を行う予定でいる。
受験生たちへの面接の際には決まって「どうしてこの職業を選んだのか」との質問をする。

テレビが好き、過去に感銘を受けたドキュメンタリー番組があったから、世間に伝えたいテーマがあるなどその動機についての返答はさまざまである。

ボク自身、この業界に入って50年近くが経つ。
なぜ、この仕事をしているのかについては、今だから答えることはできるが、50年前にそれほど明確な意思をもっていたのかどうかは、はなはだ怪しい。

高校生の頃は、まだテレビの創成期で、NHKで放送していた「事件記者」というドラマがあった。
警視庁詰めの新聞記者たちが、激しい取材合戦を繰り広げる内容だったが、その番組を視て、新聞記者になりたいと強く思うようになった。

ボクと同様に、ドラマ「事件記者」に感激してNHKの報道記者になったのが、現在、報道解説でお馴染の池上彰氏だと聞いている。

ボクの場合は、ちょうど、大学受験を控えていた頃で、早稲田大学の政治経済学部に新聞学科があることを知り進学した。
就職試験で新聞社を受験したが、願いかなわず、結局は日本テレビに入社した。

当然ながら、報道部を希望したが、教養局という部署に配属となった。
事件記者を目指していた当時のボクには、「教養」という二文字の語感が何とも軟弱で女々しく感じられ、本気で会社を辞めようかと考えた。
自分の希望する職場とイメージがあまりにもかけ離れていると思えたからである。

しかし、色んな番組の制作に触れているうちに番組作りの面白さに気付き始めた。
そして、ドキュメンタリーに出会い、その世界にはまる。

その後、訳あって報道部に配属になった時には、あれほど強く希望していた報道記者を拒絶する自分がいた。
人の思いや気持ちなどというものは、あやふやで、いかにも自分勝手である。
ドキュメンタリー以外の仕事には興味がなくなっていたのだった。

ドキュメンタリーの何が面白くてそうなったのか、の論理的な説明などできない。
特別に才能があった訳でもない。
その証拠に、直接のモノ作りから離れて久しいし、制作プロダクションの社長などをやっている。

しかし、ドキュメンタリーからは常に離れることが出来ないでいる。
ドキュメンタリーが好きで、性が合っているとしか云えない。

この、性に合うとか、仕事の向き不向きというのは、仕事をする上での大切な要因である。
新入社員の採用試験の際には、まずは、向き不向きの判定が求められるが、正確に判断することはなかなかに難しい。

毎年行う新入社員の採用に際しては、何人ものスタッフの目を通して真剣に面接するのだが、必ずしも大当たりとはいかないケースもある。
職場環境に適応できなかったり、仕事そのものについていけなくなり自ら職を辞する者も出てくる。
残念ながらそれはそれで致し方ないことである。

しかし、時には、本人の努力にもかかわらず、制作という仕事に向いていない者も出現する。
この対応には正直、苦慮する。

本人の資質の問題があるので、それを一から正していくことは簡単ではない。
そういう人材に接した時、プロデューサーやディレクターの中には、面倒見切れない、と投げ出してしまう者もいる。
しかし、現実には、情も生まれるし、何よりも採用したという責任がある。

本人が諦めたのならば話は別だが、やる気がある限りは、会社の都合で、放り投げることは絶対に許されないことである。
どのように育てれば良いのかに頭を痛める。

そんなボクの意を意識してかどうか、苦悩している若いスタッフの面倒を積極的にみようとしてくれるスタッフたちもいる。
人一倍苦労することになるのだが、自らその苦労を買おうとする心意気が頼もしく、嬉しい。
こういう意識が社内に浸透していくことで、スタッフの中に連帯感や信頼関係が生まれることを大いに期待している。

一方で、俺が、私が、という競争意識や作り手としてのエゴイズムは、表現者としてのボクたちの仕事には確かに必要だが、同じ志を共有する共同体としての意識は同時に大切である。
それが、同じ釜の飯を食うということであり、戦友になるということである。

そこが同じ表現者でも、フリーと組織に属する作り手との大きな違いであり、共同体の持つ大きな意義であろうと思っている。

今後とも、スタッフと手をとり合い、堂々と共に歩んで行きたいものである。

   「ありのまま 楽しく生きる 皆と生きる」


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学校の場合
学校も若手教員をどう育てるかが大きな課題となっております。学校の場合、教師は一人で教室におり、どのような授業をしているかはわからないのが通常です。年間数回ある授業参観だけが公開されるというクラスも珍しくありません。ですから授業について何一つ指摘されることもなく、数年過ごすというケースもでてきます。要するに学校には相互啓発する場がほとんとないのです。御社のように志を持った教員がいたとしても、いつどこでやるかとなるとその隙間を見つけることが難しい。なにしろ行事が目白押しなのです。
かように本末転倒しているのが現場ですから、これを変えない限り教育改革は名のみあって実なしとなるでしょう。授業コンクールみたいなものを打ち出せば学校の意識も変わるかもしれません。そういう教育長が現れたら面白いのですが。
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