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身勝手なボクの一方的親友

知人、友人は多い方だが、さて親友となるとどうか。

もともと親友とはどういう友のことを指すのか考えたことはなかったが、辞書を引くと、「互いに心を許し合っている友」「特に親しい友」と至って常識の範囲の説明である。
心友、信友などとも云うらしい。

会社にも、心を許し信頼できる仲間たちはいるが、親友という定義には当てはまらない気もするし、親しくても、大先輩となると、友と名乗るにはこれまた恐れ多い。
少なくとも、上下関係や利害関係があると成り立たないようである。
それに「無二の親友」などとの表現もある位だから、その数は多くはないのが相場なのだろう。

先週の土曜日、大学時代から親しくしてきた0夫妻と食事をした。
これまでO君のことは、他人には、迷わず親友と公言してきた。

Oとは早稲田大学の大教室の授業でたまたま隣に座り、言葉を交わしたのが出会いの初めで、それ以来の付き合いである。
性格は全く異なっているが、なぜか気が合い、大学時代の4年間は四六時中、いつも一緒に過ごしていた。

お互いの実家にも行き来し、両親たちにも紹介し合った。
彼の兄弟とも親しい間柄である。
大学生活で得たものはいくつかあるが、Oとの濃密な時間は特筆に値する。

卒業後、彼は金融関係に、ボクはテレビ局へと、それぞれ全く別の道を進むことになった。
それから、50年近くが経つ。
その間、お互いに何度か会っているが、それほど頻繁な回数ではない。

先日の食事は、3年前に、大学の同級生の葬儀で会って以来、3年振りのことだった。
何年か振りに会っても、親や兄弟の場合と同じで、久し振りという感じが全くしないのが不思議で、それが親しい友というものなのだろう。
恐らく、過去に体験した深い関係が生み出す特別の親しみの蓄積があるからに違いない。

実は、Oには言葉では言い表せない大きな恩義があった。
十数年前に0から400万円という大金を借りたのだった。

大きな声では言えないが、当時は毎月、会社の資金繰りに追われ、四苦八苦の日々を送っていた。
彼は、ボクの借金の頼みに「分かった」の一言で借用書のひとつを要求する訳でもなく即座に貸してくれた。
銀行員とは云え、一介のサラリーマンには重すぎる金額に違いなかった。

会社を立ち上げて以来ずっと、銀行からの借り入れだけでは間に合わず、ボクは思い付く限りの人たちからの借金で社員に給料を払い、月々の支払いに充てていた。
そんな苦しい状況からやっと抜け出せたのは、つい最近、ここ2~3年のことである。
まことにお恥ずかしい話で、今だからやっと話せる。

今からもう一度、あの頃に戻ってやり直せ、と云われても、とてもあの困難を凌ぎ切るだけの勇気と体力は残っていない。
そんな苦しい時も「毎日がスリルとサスペンスの連続で、それだからプロダクションの経営は面白くてやめられない」などと、これまで他人様にうそぶいていたものだが、やっとのことで経営的に安定し始めた今では、恐ろしくて、そのような表現はとても出来ない。

思い出しても、吾ながらよくも無事に乗り切って来られたものだと恐くなる。
そんなふうに感じるのは、ボク自身、すでに歳をとり衰えて来たという証なのかもしれない。

本当に、数えきれない人たちに助けられ、支えられてきた。
勿論、それらの方々への借金は、約束通りにこれまでにきれいに返済してきた。
そして、Oへの返済を、やっとこの暮から始めた。
来春できれいにできる。

Oには甘えるだけ甘えさせてもらった。
この十数年の間、一度も返済の催促は無かった。
まるで何事も無かったかのように接してきてくれたのだった。

食事の時「本当に永い間ご迷惑をお掛けしました。ありがとうございました」と妻はボクに代わって彼に礼を云った。
「いやあ、あのお金は、はじめから返してもらおうなんて思ってなかったですよ。実はカミさんも知らないことなんですよ」と彼は照れながら妻に応えた。

礼を言っている妻も借りた当時のことは知らない、ずっと以前のことである。
Oの奥さんは何のことか分からずキョトンとしている。
Oとはそんな男である。

3人の子供を立派に育て上げ、それぞれ自立して社会人として活躍している。
彼は、13年前に退職し、以来、年金暮らしである。
生活に困る状況ではもとよりないが、贅沢もせずつつましい暮らしをしている。

ボクは身勝手に親友だからと甘えて来たが、Oはこれまで歯を食いしばって我慢をしてくれていたことは間違いない。
ボクはOと妻との会話を聞きながら、改めて感謝の気持ちでいっぱいになったが、素知らぬ顔をしていた。

昨日、彼からの手紙が届いた。
美味しい料理と楽しいひと時を有難う、との後に、「お金は確かに受け取りましたが、無理することはないよ。そちらの気が済めば良いだけなので。番組作りにほんのチョッピリでも役に立ったのであれば、使われたお金も本望だと思います」とあった。

彼はどこまでも、そういう男なのである。
さて、この親友にボクは一生を掛けて、どんな恩返しができるのだろう。

      「親友も 一文字違えば 悪友に」


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