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赤サンゴとマグロの密漁

「日本では、中国漁船の赤珊瑚密漁が大問題になっていますが、一方地球の裏側にある西サハラの領海では日本漁船がマグロを密漁していると国際社会が騒いでいます」と平田伊都子さんからの知らせである。

平田伊都子さんは中近東、アフリカのアラブ諸国の事情に精通しているジャーナリストである。
かつて、リビアのカダフィ大佐が権力の絶頂にあった頃、日本人ジャーナリストで初めて単独インタビューに成功し、時の人となった。

またパレスチナ解放機構(PLO)のアラファト議長とも太いパイプを持っていた。
「カダフィ正伝」「ピースダイナマイト~アラファト伝~」「サハラの狼」「赤いラクダ」「イスラーム入門」他多数の著書も出されている。

ボクとは30数年来の付き合いで、何度か番組の制作でお力をいただいている。
平田さんが取り組まれているテーマは多岐にわたるが、現在は、西サハラの独立問題に深く係わっておられるようだ。

何年か前に、西サハラの独立運動を推進するポリサリオ解放戦線の取材をしないかと勧めていただいたことがある。
西サハラなどと云っても、初めて耳にする方も多いことと思う。

アフリカ北西部、モロッコの南に西サハラはある。
一昔前は、「スペイン領サハラ」でスペインの植民地だった。
世界最後の植民地と云われていた。

その後独立して「サハラ・アラブ民主共和国」となったが、現在はモロッコがその領土のほとんどを占領しており、「サハラ・アラブ民主共和国」はアルジェリア難民キャンプに追いやられ、そこで亡命政府を作っている。
この亡命政府をアフリカやラテンアメリカなどの約50ヶ国は承認しているものの、アメリカ、イギリス、フランスなどをはじめとする西側諸国は、日本などの同盟国を含めて承認していない。

1992年には国連監視下で、西サハラが独立するかモロッコに併合するのかを住民投票で決めることが決定した。
しかし、毎年住民投票は延期され現在に至るも実現のメドがついていない。
西サハラとは、そんな複雑な事情を抱える国である。

平田伊都子さんによると、その西サハラの領海で日本漁船によるマグロの密漁が問題になっているというのである。
その内容は「2014年10月17日、WSRW(西サハラ天然資源監視)は、『3隻の日本漁船が、西サハラの領海で密漁している。西サハラ領海は、国連が規定している未確認地域で、この西サハラ領海内での操業は密漁となる』との抗議書簡を日本政府に送った。10月31日には、イギリスのBBCテレビが、この模様について放送した」というものである。

中国漁船による赤珊瑚の密漁には中国の日本に対する覇権争いがあるから、西サハラのマグロの密漁とは同列で論じる訳にもいかないが、その両方の事件に共通しているのは、密漁の事実に関して密漁をしている側の両政府とも黙認している点である。

かつて、韓国が李承晩ラインという排他的経済水域を設定し、領土の拡張と海洋資源の独占を図ったことがある。
1965年に日韓漁業協定が成立するまでの13年間に300隻の日本漁船が韓国に拿捕され、4000人近い日本人漁民が抑留された。

日本からすれば韓国の一方的措置と映るが、韓国から見れば日本漁船による密漁ということになる。
当時のソ連との間でも、密漁で日本漁船が拿捕される事件が頻繁に起きている。
密漁は今に始まったことでもないし、珍しいことでもない。

いずれにしても、密漁は目を盗んで他人様のモノをこっそりと盗むという泥棒行為だが、そこには漁民たちの生活の事情があり、その裏には国家間の境界線を巡る争いがある。
それは領土問題であったり、資源確保の問題であったりするが、結局その本質は経済闘争である。

国際関係は弱肉強食の世界だろうから、強い国は弱い国を食いつぶすことは必定である。
しかし、世界の国々は各国の力の調整を図り、争いを避けるために、徒党を組んだり、連合を作ったり、機構を構成したりしてきた。

近代では第一次大戦後にできた国際連盟しかり、第二次大戦後の国際連合しかりである。
しかし、これらも大国の思惑等々により崩壊したし、現在の国連も決して機能的に運営されているとは言えない。

政治で解決がつきそうにない時には、環境保護とか資源保護などという別の価値観で解決を図ろうともする。
しかし、最終的には、国家の欲望やエゴが何よりも優先してしまうのだ。

本来は、欲望やエゴの制御こそが、人間が幸せに生きて行くための最も基本的で必要な条件にもかかわらず、この欲望やエゴは留まるところを知らぬ代物で、制御することは不可能とされている。
これは恐らく宿命に近い。

だから、どんなに努力しても密漁は無くならないし、国境を巡る紛争は絶えることもなく、したがって戦争も避けることはできない。

しかし、ボクたちは、それを承知の上で、密漁は無くさなければならないし、紛争や戦争を避けなければならないのである。
例え、不可能とは知りつつ、それを覚悟の上で、欲望やエゴを制御する努力を払わなければならない。

なぜなら、エゴで織りなされている人の世は、もともと不条理で成り立っていることをボクたちは知っているからである。
そして、その不条理に立ち向かっていく努力を放棄することは、生きて行くことを止めることに他ならないからである。

敢え無い努力を続け切ること、それが、人が生きるということであるのかもしれない。

   「密漁を 取り締まらぬも 政治かな」


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