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思い込みの落とし穴

知り合いの夫婦のお話である。

亭主はすでに80歳を過ぎて久しいが、嫁さんの方は60歳にはしばらく間がありそうで、まだまだ元気に溢れている。
嫁さんは亭主のことを心から愛していて、あれこれ世話を焼くことが彼女の生きがいになっている。

そのつくす様子は実に健気で、亭主のわがままも上手にいなしてはなだめ、気配りなども細かく絶妙で、俗に云う”痒いところに手が届く”という表現がぴったりの、まるで亭主の分身のような存在である。

そのご亭主が、先日、うかない顔でお見えになった。
しばらくの雑談の後、彼は「実はアレがガンだと判ってね。いま、入院しているんだよ」と云う。

膵臓のガンらしいが「どう慰めて良いのか、言葉がみつからなくてね」と本当に弱っているのが手に取るように分かる。
嫁さんも突然の、しかも予期もしていなかった事態に、相当なショックを受けているらしかった。

「何も死ぬと決まった訳でもないのでね。ガンになったらなったで、また、これまでと違った人生がある訳だから、それはそれで別の人生を歩むという楽しみもできると考えれば、生きる道筋も自ずと開けるのだけれど。しかし、ガンの宣告を受けてすぐの今じゃ、そんなことを話しても、とても耳には入らないだろうしね」
なるほど、80歳も半ばを迎えると、深い知恵が身について来るようだ。

「亭主の世話を焼くことだけが生きがいの方だけに、こんな形で病に倒れるのは辛いのでしょうね。亭主の心配よりも、自分の心配が先になるなあ」とボクは云った。
「まったくそうだよ。ワシが死んだら、こうしようか、ああしようか、と、そんな心配ばかりしていたからね。どちらが先かは分からんな」

20歳も30歳も年齢差があれば、年齢の順にあの世に行くものだと考えるのが自然である。
それどころか、同じ年齢でも、女は男よりも長生きすると思い込んでいる。
世の多くの亭主たちは、ある年齢に達すると嫁から死ぬための準備を迫られることが多いと聞いている。

しかし、世の中、何が起きるかは分からない。
順序通りにいけば全員が幸せだが、とんだ番狂わせという落とし穴に気をつけなければならない。

穴に落ち込んだが最後、不幸は間違いないないからである。

   「あの世へは 順番通り 行儀よく」


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