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初心に戻ってがんばります

和田萌というディレクターがいる。
入社して7年目、新進気鋭の若手である。

わが社では、月に一度スタッフ全員が集まっての全体会議を行っており、スタッフに社長賞や企画賞を出している。
企画賞はとくに際立った企画を提案したり、また採択されるなどした功労者に出す。
社長賞はボクの独断と偏見に基づいて、与えたいと思ったスタッフに出す。

社長賞も企画賞も該当者のいない月もあるが、出来るだけ出すようにしている。
企画賞は3万円、社長賞は5万円。
ちなみに源泉はしないので、手取りの金額となる。

今月は、和田萌ディレクターともうひとりに社長賞を出した。
彼女への社長賞の理由がボクにとっては本当に嬉しいものだった。

彼女は、会社に入社したその年に提案した企画がテレビ局に採択され、いきなりディレクターを務めたという才能に恵まれた人材である。
その作品が、各プロダクション120社ほどが加盟している組合、全日本テレビ番組製作社連盟(ATP)の新人賞を受賞した。

生まれて初めて作った番組が、その人にとって人生で最高の傑作だった、というようなケースも珍しいことではない。
これはテレビ番組に限らず、絵画や文学の世界でも同様である。

彼女はその後も、BS朝日の「アジア神秘紀行」やNHKの「旅のチカラ」、それにWOWOWの「ノンフィクションW」をはじめとして、数多くの特別番組などを手掛け、着実にディレクターとしての道を歩んでいる。

彼女は企画の発想力が豊かで、しかも適確なので、彼女の企画がテレビ局に採択される確率がとても高い。
彼女の豊かな才能や作家性は、持って生まれたものではあるが、日常の努力は人一倍であることも確かである。

凡庸なディレクターならば、半ば馬鹿にして素通りしてしまうような比較的軽いタイプの番組にも、しっかりと向き合い、例えばある都市を取り上げる場合でも、その国の歴史などを含めて遡り、深く調査する。
それは必ずしも直接的に番組に反映されることはなくても、この調査の深さが、その番組に奥行きをもたらす効果を発揮する、といった具合である。

彼女の演出する番組が魅力的なのは、氷山と同じようにその隠された部分の豊かさにある。
ボクはいつも、その見えない彼女の努力と才能を感じることを楽しみに番組を視ることにしている。

つい最近NHKで放送した「世界で一番美しい瞬間~ロマンチック街道の”宝石”輝くとき~」という彼女がディレクターをした番組についての感想を話し終え「次は『アジアインサイト』をやってくれるらしいね」とボクが云うと「初心に戻ってがんばります」との返事が帰って来た。

「アジアインサイト」はボクが大切に考えている番組のひとつである。
ボクは、その瞬間、この「初心に戻る」の一言に社長賞を出そう、と決めた。

そう云えば、彼女は、つい最近、WOWOWの「ノンフィクションW」というドキュメンタリー番組で放送した「八十歳の漂流俳優ヨシ笈田 三島が託した日本」が衛星放送協会オリジナル番組アワード ドキュメンタリー番組部門最優秀作品賞を受賞した。

「初心に戻ってがんばります」のひと言が言えるのは本当に素晴らしいことである。
この人の力の源がここにある。

全体会議で社長賞を手渡すと「世界で一番美しい瞬間が反省する点が沢山あったので、初心に戻って、と云ったのですが、モノは云ってみるものですね」と笑った。

一作ごとに新たな力を発揮している彼女だが、今後がますます楽しみである。
ボクたちの大切な宝である。

      「立ち戻る 初な心で モノ作り」


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