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スキージャンプ葛西紀明選手とカラオケ

スキージャンプの葛西紀明さんと会食する機会があった。
葛西選手は、説明するまでもないが、ソチオリンピックで銀と銅ふたつのメダルを獲得したメダリストである。

弱冠19歳でオリンピックに初出場して以来、今回のソチまで、史上最多の計7回にわたり冬季オリンピックに出場しているとんでもない傑物である。
今年で42歳になるが、40歳を超えてのメダル獲得の偉業に対して、レジェンド、伝説の男との異名で日本だけでなく世界中から称賛されている。

葛西選手にはNHKの「課外授業・ようこそ先輩」に出演をお願いしており、その交渉でお会いした。
彼を紹介してくれたのは、佐京純子さんである。佐京さんは、日本人女性としては初のプロスキーヤーとして一世を風靡した方である。

佐京さんには、かつてプロ野球の巨人軍の松井秀喜さんやプロゴルファーの丸山茂樹さんを紹介してもらい、おふたりの対談でNHKの正月特別番組を放送したり、また松井選手には「課外授業・ようこそ先輩」にも出演していただいた。

佐京純子さんの案内で、愛宕ヒルズ42階の東京の夜景が美しく見事なレストランの個室で食事をした。
真っ黒に日焼けした葛西選手は、実に礼儀正しい好青年だった。

彼が差し出した名刺には、「土屋ホーム 住宅部門 本店 スキー部(監督兼任) 部長」とあった。
彼は本当に自然体の気さくな人物で「何でも気軽に聞いて下さい」と言ってくれた。
同行した當眞プロデューサーも正式に「課外授業」の番組出演の依頼を本人に直接できたことを喜んだ。

「オリンピックのメダリストとお会いするのはこれが初めてですよ」とボクが喜ぶと、やおらバッグの中から銀と銅のふたつのメダルを取り出して手渡してくれた。
それは、とても大きくて重いものだった。

「これまで460回ほどの試合に出場して16回しか勝ってません。ほとんどの試合に負けていることになります」と云う。
勿論、勝つというのは優勝という意味だから、今回のオリンピックの銀と銅のメダルは勘定に入っていないことになる。

「50歳までは競技を続けようと思っています」と云う。
口には出さないが、オリンピックで金メダルを絶対に手するまでは、との気迫と自信が彼の身体全体から滲み出ている。

これまでにワールドカップでの優勝をはじめ、数々の国際大会で勝ち、めざましい活躍の記録を残しているのだが、それでは満足出来ないらしい。

「学校で一番、いやいやクラスで一番になるのも大変なのに、凄いなあ」とボクが実感を込めて云うと、「ははは……」と笑っている。

「ジャンプするのは怖いですか」との問いには「怖い」と正直だった。
「結局、恐怖をコントロール出来た者が勝つことができますね」と云う。
女子ジャンパーで圧倒的な強さをみせている高梨沙羅選手の強さの秘密も、恐怖のコントロールにあると彼は分析した。

「僕の心の支えは母からもらった手紙でした。母はもう亡くなりましたが」と葛西選手は云った。
「遠征試合に出掛ける時はいつも持って行ってましたが、今度のソチオリンピックには、あえて持っていくことはやめました。母に頼らない強い心を持とうと決心したからです」 
その強い心が、銀と銅のメダルを彼にもたらしたのだろうか。

彼は、控えめで、何とも爽やかな青年だったが、自分の身体能力には絶対的な自信を持っていた。
50歳まで競技を続けるという自らの肉体への自信は日常の節制にあるようだった。

一年間のうちで、自分が自由に時間を使える期間は、4月から五月の連休明けまでの、およそ1カ月少しだけで、後は試合と練習のために費やされるという。

ジャンプ競技では体重は軽いほど飛距離が伸びる。
したがって、毎日が体重の調整のための厳しい食事制限との戦いになり、好きな肉も食べられなくなるらしい。

体重を落とすための食事制限の結果は、免疫力の低下を招き、しかも寒い雪の中の競技や練習になるので、風邪などを引きやすくなるらしい。
「スポーツ選手の中でジャンプ競技の選手の体調管理が一番デリケートで大変だと思います」と葛西選手は断言した。

「このあとすぐに、フィンランドに練習に出掛けることになっています」
「それじゃ、お酒を飲めるのも今日だけですね。これから軽く行きますか?」とボクが誘うと「いいですね」との返事が返って来た。
「葛西さんはカラオケが上手だそうよ」と佐京さん。
それでは、ということになり、ボクの行きつけの赤坂のクラブに向かうことになった。

いつもはお客の少ないお店なのに、ボクたちが着いた後、なぜか続けて10人以上のお客が入り始め「葛西さんは福の神だね」と笑い合った。

やがて葛西選手が、松山千春の「旅立ち」を歌った。
騒がしかったお店がシーンとなった。
珍しいことだった。
それほど、彼の歌は上手で、玄人はだしだった。
金のとれる歌声だ。

そのうち、客も歌の主が、葛西選手であることに気付き、「レジェンド、レジェンド、ニッポン、ニッポン」の掛け声でいっぱいになった。

誰かが名刺を持って挨拶にきた。
彼は、カバンの中から、メダルを取り出し「僕の名刺です」とそのお客に渡した。
それからのお店は大騒ぎになる。

我も我もとメダルを手にし、葛西選手との大撮影大会となる。
お店のホステスたちも、お客をそっちのけで、葛西選手の隣に座り、撮影してもらっている。
普段は威張っているだろうお客の社長やおえらいさんたちが、夢中で葛西選手に握手を求め、記念写真に納まっている図はいかにも無邪気で楽しい。

そのうち十枚を越す色紙にサインを求められたが、彼は、嫌な顔ひとつ見せずにそれを書きあげた。
本当に素敵な男だと感心した。

彼は少なくとも、そのお店にいた二十数人の人たちに喜びと幸せを与えていた。
誰に頼まれたわけでもなく、損得勘定など勿論あろうはずもなく、彼は自然に振る舞っている。
これがスターというものかもしれないと思った。

「いやあ、楽しかったです。また、連れて来て下さい」と別れ際に葛西選手は云った。
それもボクには自然の言葉に聞こえた。
大した男だと、また思った。

「課外授業・ようこそ先輩」で葛西選手がどのような授業をしてくれるのか、とても楽しみにしている。

   「4年後は 最長不倒 金メダル」 


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