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久し振りの会合

先日、8年振りの集まりがあって出席した。
元、日本テレビのドキュメンタリーの制作に携わっていた関係者の集いである。
「うちわ会」と名付けられているが、その名の通り、ごくごく親しい内輪の人たちだけの家庭的な雰囲気の会である。

この会が作られた20数年前は、メンバーは20人ほどいたが、すでに2名が亡くなった。
最年長は、うちわ会の会長をやっていただいている、元日本テレビの常務取締役を務められたIさんで、82歳になられる。
ボクなどは、まだまだ若輩の部類に入る位だから、平均年齢は高い。

こういった会合は、たいていは、夕方の6時とか7時頃から始まるものだと思っていたが、さすがに高齢者の集まりらしく、平日のお昼の12時スタートであるところが面白い。

8年振りとなると、当然ながら自分自身も含めて、お互いに、大いに歳をとったとの実感はあったが、いざ話し始めるとそんな感覚はすぐに無くなるのは同窓会と同様である。

久方振りの集まりに出られなかった人たちからは、それぞれの理由がしたためられていた。
親族の介護のため、体調が思わしくないため、歩行が困難になっているため、禁酒中であるため、孫の面倒をみるため、海外に居る娘のところに行っているため、などそれぞれの欠席の事情が世話役から伝えられた。

この日、参加したのは10名である。
このような会合に参加出来ていること自体が、取りあえず健康で、ある程度のゆとりのある証拠とは云うものの、それぞれに事情を抱え、それぞれの日々を送っているようだった。
そして、その近況を聞くと、いよいよ人生の終盤の日々をどのように過ごしているのかがうかがえて興味深いと同時に、身に詰まるものがあった。

若い頃にカメラマンから転職し、故郷の山形に戻り、父親の事業を継いだが、さらに、その事業に見切りをつけて新たにホテル業を興して、成功させているSさんは、すでに事業の半分を息子に跡を継がせている。
かつてはボクとも一緒に仕事をした優秀なカメラマンだったが、見事転職にも成功した。

事業局で展覧会などの企画をしていたH女史は、67歳とメンバーの中では最も若いが、2年ほど前に夫婦で栃木県八ヶ岳に移り住んだ。
「こんな凄い所よ」と見せてくれたのは、雪に埋もれたロッジの写真だった。
それがH女史の住居だそうだ。
大学の先生をしたり、母親の介護をしたり、反原発運動をしたりと、とにかく忙しいらしい。
会社を辞めた方が忙しくなったと根っから元気が良い。

音楽効果の仕事をしていたTさんは、奥さんに先立たれて、やはり田舎の方に引っ越しての一人暮らしをしていると云う。
1週間に一度、仕事で上京する。
そのギャラも、ガソリン代と宿泊代でチャラだよと、明るく笑った。
すでに後期高齢者だが、昔と変わらず淡々と生きていらっしゃる。

沖縄にその人生のすべてをつぎ込んだMさんは、変わらず、哲学的な生き方をしておられた。
原発事故で家族と急ぎ東京を離れ、沖縄に逃れられたが、数ヶ月後に、結局は東京に戻って来た自分の行動について深く考えておられる。

2年前に、照明関係の会社の取締役を辞した、今年69歳のNさんは、まだまだ働ける若さを持てあましている様子である。

会長のIさんや、世話役のSさんなどは、悠々自適で趣味の世界で生きておられる。

いつも、宵越しの金は持たない、と豪語していたHさんは、「大変なのよ。働かないと、家賃が払えないのよ」と嘆いている。
後期高齢の年齢を過ぎてもそういう生き方をしている度胸は凄いと驚く。

この年齢の者が集まると、この人にして、現在のそれぞれの形があるのだと、何となく納得する。
生まれた時や、子供時代はどちらかと云えば、その人の運のようなものが左右しているとの感もあるが、この年齢になると、生まれや、親の責任などはすでに問えなくて、自分の生き方や考え方が、現在の形を作っているのだということが分かって来る。

そして、これからの残りの時間をどのように生きるのか、というのも傲慢に思えてくる。
どのように終えて行くかがテーマだと実感する。

どのように生きるのかも、人生を終えるのかも、結局は言葉遊びになるかも知れないが、この日の話題にもしばしば登場した介護や認知症患者の世話の苦労話などを聞くにつけ、これからはいかに周囲の人たちに迷惑を掛けないで生きて行くか、あるいは死んでいくかだけが価値のあることと思える。

老後の価値は、その老後そのものではなくて、周囲への迷惑の無さだけに価値があるのだとの理解はした。
しかし、それを実践するために何をすればよいのかは、情けないことに見当がつかない。
老いることは、本人以上に周囲にとって悲しいことである。

さらに、蛇足ながら、老後は各自の責任とは言え、その暮らしを支える社会的なセイフティーネットの整備がどうしても必要だ。
戦争への道を模索するのではなくて、これまで社会に貢献してきた国民の人生の最後の不安を、少しでも軽くするような、真の福祉国家の実現に、その舵を切ってもらいたいものである。

      「旨いもの 何でも喰らい あの世行き」


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