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花壇の花々

ボクが住んでいる信濃町のマンションには玄関が二つあるが、裏玄関とも云える出入り口を出たすぐ脇に、狭い公園に続く10坪ほどの空き地がある。

以前はそこには雑草が生えていたのだったが、ここ2年ほど前から、少しづつ季節の草花が植え始められ、いつの間にか様々な花が咲き乱れる立派な花壇に変身した。
いまは、マーガレットや色とりどりのナデシコが美しい。

会社の行き帰りには必ず目にするが、特に朝は、太陽の光に映え、生き生きとしたその姿に元気を貰っている。
妻などは、毎朝、その花たちに「おはよう」と声を掛けるのが習慣になっている。
とりわけ、近頃は、辺り一面にむせるほどの香りを放っていて、初夏の感覚を一層感じさせてくれている。

以前から、一体誰が、この花壇の世話をしているのかと思っていた。

一昨日の日曜日の午後、ひとりの男性がこの花壇を手入れしていた。
ボクは思わず「こんにちは」と声を掛けた。
「この花を育てておられるのはあなたですか?」と単刀直入に尋ねた。
「はい」と50歳代半ば過ぎと思えるその男性は少し恥じらうように笑顔で答えた。

彼はボクたちと同じマンションの住人だということだった。
そして、この空き地は新宿区の所有で、初めは同じマンションの仲間たちと草花を植え始めたが、今はほとんど彼ひとりが花壇作りに精を出しているのだとのことだった。

「毎日、幸せな気持ちにさせていただいております。ありがとうございます」と妻が男性に礼を云うと「いやあ、楽しみでやっているだけですよ」と照れながら、それでも嬉しそうに答えた。

季節に合わせて花々をこれだけ見事に咲かせ続けるのは、並大抵の労力ではないし、それにお金もかかることだろう。
ボクたちは、男性に「ありがとうございます」と繰り返し礼を云った。

しかし、ボクはこの美しい花園を毎日通り過ぎながら、不思議に思っていたことがある。
それは、これほど咲き乱れ、香りを放っている花々に寄って来る虫たちをこれまで一度だって目にしたことが無かったことだった。

改めて考えてみると、家から会社への道筋の赤坂見付まで、ずっと緑が途切れることがない。
赤坂御所、迎賓館、学習院小学校、いくつかの公園、四谷駅からホテルニューオタニまで続くお堀沿いの緑と、何とも緑に満ちたこの一帯なのに、どの季節にも虫の姿を見ることがない。

どこにでもいた黄金虫などもいない。
お堀には水もあるのに、夏になってもトンボも見ないし、蝶も姿を見せない。
そういえば、ハエもあまり見ないし、蚊に刺されることもなくなった。
小鳥たちも姿を見せなくなって久しい。虫がいないと鳥もいなくなるのだろうか。

先日も、麹町から赤坂への道すがら、妻と娘と3人で新緑の映える清水谷公園を通った際にも、鳥たちの鳴き声もなかったし、姿も見ることはなかった。
虫嫌いの娘は、「虫などいない方が良いわ」と喜んでいる。

これが、都会の自然の姿なのか。
それとも、何か不自然な出来事なのか。

      「そんなこと 当たり前でしょと 妻が云い」


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