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鮨職人の勢いとトキメキ

久し振りで鮨を食べに行った。
馴染みの鮨店は2、3軒。
いずれの店も、5~6人の板前が居る規模のお店である。

とは云っても、ボクなどは食通ではないし、とても高級鮨店などには出入りできる身分ではない。
普通の大衆鮨店に行くのが関の山である。

高級鮨といえば、オバマ大統領が訪れた銀座すきやばし次郎などのように、ミシュランガイドの最高評価である「3つ星」を7年連続で獲得したような店もある。
一人前3万円というのはどんな鮨なのだろう。

そういえば、四谷荒木町に寿司金という店がある。
ボクは荒木町を30年以上も、根城にしていたので、この町のことはよく知っているが、その寿司店には、一度も入ったことはない。

何でも、貴乃花がしばしば通っていたというが、店構えはいかにも普通というか、あえて言えば普通以下で、余りにも見映えしない佇まいである。
しかし、その店の値段は飛び上るほど高いとの評判だった。

ある時、知り合いのディレクターが、その寿司金の主人の技を取材し、その番組を見たことがある。
二握りの寿司を握ってもらい、その握りのご飯粒の数を一粒づつ数えたところ、そのふたつの握りの米粒の数が何と同じだった。

また、ご飯粒が、見事に横に並ぶように握られていた。
普通の職人では、米粒が縦になったり、横になったりバラバラだが、寿司金の主の場合は、全部横になっているので、歯触りが良いのだそうだ。

これなどは、寿司職人の奥義を極めたお話で、実際にそんな職人さんが居ることに驚いたものだが、食文化の一端とは云え、そんな名人が何でもない街角にひっそりと、知る人ぞ知る存在でいることが面白い。

高級鮨店には、それだけの職人芸が備わっているということなのだろう。
しかし、ボクなどは、下世話なだけだから、ただただ、ネタが新鮮で大きければ、それだけで喜んでいるのだから世話はない。

ただそんな大衆的なお店でも、その時々によって、鮨が旨かったり、不味かったりする。
その理由が分からず、いつも不思議だったのだが、先日、その謎が解けた。

馴染みのお店では、ボクのカウンターに座る場所はだいたい決まってくる。
板前さんの守備範囲が決まっていて、いつもの職人さんの前に案内されるからである。

先日、久し振りに行くと、奥の席しか空いて無くて、そこに座った。
以前にしばしば握って貰ったことのある職人さんだった。

「大将に握ってもらうのは久し振りだね」と云うと「そうですね。一年近くなりますかね」とその職人は笑顔で答えた。
おや、大将、この一年でずいぶん歳をとって衰えたな、とボクは思った。
声や態度に張り艶が無かった。

早速握ってもらったが、これが旨く無いのだ。
隣の妻も同じ気持ちでいるのが伝わって来た。

ボクたちは空腹でお店に入ったし、ネタはいつもと変わらないし、ご飯の炊き方がまずいのかな、などと思いを巡らせていた。
そして、思い当たったことがあった。

それは鮨に勢いが無いのだった。
職人さんの勢いが足りないことに気付いたのだった。
どうやら、気合いが不足している。
ただ、握って、それを出しているだけだった。

新鮮な寿司ネタ、職人の技、それに客を楽しませ、喜ばせようとする意欲、それらの総合であるサービス精神。
そして何よりも、職人の勢いが、旨い鮨を生み出すのではないか。
これらのどれひとつが足りなくても、鮨は不味くなるのだろう。

これは決して他人事ではなくて、ボク自身にも当てはまるかもしれない。
最近、とみにトキメキのようなものが希薄になって来たかも知れないと感じている。
トキメキが無くなれば、生きていることの意味は無い。

そろそろ、目玉が飛び出るほどの高級鮨店のカウンターにでも座って、刺激をうけなければならないようである。

   「トキメキを 甦らせて 春の風」


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