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調査捕鯨のこと

南極海での日本の調査捕鯨は国際捕鯨取締条約に違反するとの判決が3月31日、オランダ・ハーグの国際司法裁判所によって下され、日本に今後の捕鯨の中止を命じた。

判決理由では、日本が現在、南極海で実施している調査捕鯨は科学的研究のための捕鯨に当たらないと判断したためとしている。
この訴訟は、反捕鯨国であるオーストラリア政府が提訴したものだが、日本の調査捕鯨は科学を装った商業捕鯨だと訴えていた。

このニュースを聞いて思い出したことがある。
2009年の初夏の頃だったと思うが、知り合いの映画プロデューサーと映画監督が、あるドキュメンタリー映画を見てくれないかと持ってきた。

そのタイトルは「ザ・コーヴ」といった。
内容は和歌山県南紀の捕鯨の町として知られる太地町のイルカの追い込み漁を巡り、地元漁師とそれを阻止しようとする反捕鯨団体「シーシェパード」の活動家との熾烈な争いを、反捕鯨の立場から描いたドキュメンタリーだった。

ボクを訪ねて来たプロデューサーは、その作品の扱いを託されたのだが、テレビ放映などの手段を含めて利用する方法はないだろうか、と相談にみえたのだった。

ところで、ボクが子供の頃は、しばしば鯨の肉を食べさせられたものである。
焼いて食べるか、ミズ菜と煮るか、料理の方法はそのどちらかに限られていたと記憶している。
牛肉はまだまだ高価だった頃で、肉と云えば、鶏肉か豚肉か鯨肉が一般的だった。
鯨肉が食卓に並ぶと「また鯨かあ~」などと悪態をついたものだ。

家の生業が醤油の製造業だったが、工場に働きに来る職人さんたちが、弁当のおかずで、端が赤く染まった鯨のベーコンを食べているのを見ると、いかにも美味しそうで、母親にねだったが、どういう理由からだったのか、決して食べさせて貰えなかったことを思い出す。

それほど一般的だった鯨がいつの間にか、気がつくと食卓から消えていた。
そのことを、大人になってから気がついた。

食卓から鯨が姿を消して行った、その間の事情については、色々と政治的な諸事情があったとは思うが、詳しくは分からない。
自然保護に端を発したものなのか、鯨や、その仲間のイルカなどが言葉を持つ知的な哺乳動物であるためなのか、あるいは食料資源を確保するための乱獲を防止するためなのか、それとももっと政治的な日本バッシングの一環としての動きなのか、これまでこの問題について真剣に取り組んだことがないので、ボクには分からない。

しかし、少なくとも、日本の現在の捕鯨の理由が、科学的調査であるというのが、根拠であるとすれば、今回の国際司法裁判所の裁定は正しいと思う。
なぜなら、今回の裁定を受けての日本の反論の主旨が、捕鯨を禁止されれば、日本の食文化が滅びるなどと、まさに食用を目的として捕鯨していることを自ら告白しているからである。
科学を装った商売のための捕鯨と断定されても反論の余地はないことは明白である。

こういった詭弁を弄しての捕鯨は実は恥ずべき行為だと思うのだが、それに堂々と反対する国会議員がいることが不思議である。
反論するならば、鯨肉をどうして食用にしてはいけないのか、との議論を展開するのが本来の筋である。

しかし、はっきりと云えば、現在の日本の食糧事情からは、なにも鯨の肉を食べなくても、ボクたちの食生活に支障を来すことは無い。
そうだとすれば、世界の反対を押し切ってまで、鯨肉の食用にこだわらなくてもよいのではないかと思う。

ボクが相談を受けた「ザ・コーヴ」という反捕鯨のドキュメンタリーは、とてもエキセントリックで、いかにも感情的で乱暴な作品だった。
捕鯨に対してはどちらかと云えば否定的なボクも、生理的に受け付けることが出来ない内容だった。
そんな理由から、その映画に係わることをお断りしたのだった。

反捕鯨グループの感覚は、禁煙派と似ているなあ、と感じたものだ。
禁煙運動は今ではすっかり定着したが、2~30年ほど前の論争が華やかなりし頃は、喫煙派に対する禁煙派の舌鋒は鋭く、有無を言わせぬ暴力的なものだった。
反捕鯨論者にもそれと同質の危険な匂いを感じる。
実に暴力的である。

それはさておき、基本的には、食の問題は生きて行く上で欠かすことのできない、もっとも大切なものであるが、、鯨に限らず、少なくとも、食が他の生命を奪う行為である以上は、食に対する欲望は最低限度に抑制しなければならない性質のものである。
必ずしも、食文化を否定するものではないが、それを文化だと威張れるものなのかどうか。

人間が、謙虚に生きことを大切にするならば、今のところ、あえて捕鯨は必要ないのではなかろうか。

      「へ理屈を こねては今日も クジラ捕り」


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