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車の運転許可をめぐって

ボクたちの会社にはスタッフが70余名いるが、それぞれに個性や特徴があって面白いし、また、毎日いろいろなことが起きる。

そのスタッフの中に、ボクが、仕事上での自動車の運転を禁じている女性スタッフがいる。
彼女は5年近く前に、大阪の制作会社を辞めてわが社に入社した。

彼女が入社して間もなくの頃、ボクのパソコンに不具合があり「ちょっとみてくれる?」と、そばに居た彼女に気軽に声をかけた。
「はい」と、これも気軽に引き受けてくれた。
それから、延々数時間……彼女はそのパソコンと格闘し続けた。

これまでもボクは、パソコンのことでは、近くに居るスタッフに声をかけて面倒をみてもらってきた。
大抵の場合は、すぐに解決して、どうもありがとう、ということになる。
しかし、すぐに解決しない時もあり、そんな場合は、5分も色々と試してみて、「わたしには分かりません」と決まって、サジを投げ出してしまう。
仕方なく、ボクは、もっとパソコンに詳しいスタッフを見つけて改めて頼む、といった具合だった。

ところが、彼女は、諦めることなく、ずっとパソコンと向き合っていた。
何時間かかったことだろう。
しかし、彼女は、途中で投げ出すことなく、とうとう最後までやり遂げたのだった。

ボクはとても感動した。
「この娘のためならボクもできる限りのことをしよう」とその時に、心に決めて今日に到っている。

彼女はディレクターとしては、まだまだ修行中の身だが、意欲的に企画提案し、次々に番組を実現させている。
テレビ出演を渋っていた大物男優のもとに足しげく通い、ついに口説き落としてNHKの大型番組企画を実現させるなど、持ち前の粘り強さを大いに発揮し、活躍している。

しかし、そんな彼女には、弱点がある。
とにかく、そそっかしいと言うのか、慌て者というのか、落し物はする、忘れ物はする、失くし物はする、といった具合で、取材の度に必ずと言ってよいほどに周りを慌てさせる。

3年前には、仕事中に交通事故を起こした。
しかも二度起こしたので、それ以来、危機管理のために、彼女の運転を禁じて来たのだった。

ところが先日、番組プロデューサーと2人でやってきて、運転することを許して欲しい、と云う。
事情を聞くと、番組の調査で辺鄙な場所に行くのだが、レンタカーがないと、とても不便らしい。
そうは言っても、事故を起こしては大変なので、ボクは許可しなかった。

2~3日して、2人はまた、話があると云う。
今度は、一枚の書類を準備していた。

そこには、3年前に起こした事故の内容と、なぜ事故が起きたかの分析、その後の安全運転の実績、さらには、今回運転することについての心構えや、安全を守るための対策等々が、事細かく記されており、最後に、担当プロデューサーと彼女本人の連名で印鑑が押されていた。

正直言って、2人共に実に真面目で律儀だと感心した。
ボクが言うのも変だが、こっそりと禁を犯す者もいる筈である。
黙っていれば、分からないこともある。
それを真正面から許可を求めて来る姿勢を素晴らしいと思った。

本当に信頼に値するスタッフであると、ボクは嬉しくなった。
ここまでの心がけがあるならば、事故は起きないだろう、とボクは判断した。
「それでは、十分注意してくれよ」と運転を許可した。

それから、さらに2~3日経ってから、そのプロデューサーから一通のメールが入った。
そこには「本人の意志により、今回は運転する事を取りやめにした事をご報告します。ご迷惑をおかけしました」とあった。

さらに、「その理由ですが、書面を作り捺印して社長に許可を頂き・・・という行為が非常に重く感じたらしく、もし、ここまでやって、自分が事故を起こしたら堂柿さんはどうなるんだろう、とか考えちゃいまして・・・、という事だそうです。特に誰に忠告されたわけでもなく、一人で考えた結果と言っていました。どうやら、自分一人の責任ではない、という事をリアルに感じたようです」とあった。

ちなみに、ここに登場した堂柿というのが、今回の運転に関して、ディレクターのために一肌脱いだ、人情プロデューサーの堂柿勉である。そしてディレクターは平岡しおりという。
これにて、車の運転を巡る件は一件落着したが、このふたりには、社長賞を出したい気分である。

      「今年また 花の季節が やって来た」


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