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優越感で思い出したこと

一昨日のブログで、ちょっとした差別意識や優越感について触れたが、それに関連する、恥ずかしい思い出がある。

ボクが日本テレビに入社して、初めて海外取材をした時の話である。
すでに、44~5年が経つ。
当時は、まだ1ドルが360円の時代で、海外へ持ち出すドルにも厳しい制限があり、現在のように海外旅行が一般的ではなかった大昔のことである。

「われら地球家族」というタイトルの番組で、台湾、タイ、マレーシア、シンガポールを一ヶ月半ほど取材して歩いた。
それぞれの国の人々の暮らしやトピックスを紹介する番組だった。

タイの首都バンコクで取材中のことである。
バンコクはご存知の通り水路が発達した都市である。
人々は日常的に、水路をまるで道路と同じように利用している。

そんな水路を小さな舟を操りながら、壺などの日用雑貨を売る男性の一家を取材させてもらった。
祖母と両親、それに嫁や子供たちなどが賑やかに暮らす一家だった。
お金に恵まれているとはお世辞にも言えないが、明るくて笑いの絶えない大家族だった。

丸2日取材させてもらったが、撮影し残した分があり、翌早朝、もう一度彼を訪ねた。商いに出掛けようと、小舟に乗ろうとしていた直前に、少し時間を割いてもらって撮影した。
礼を云い、謝礼に僅かなお金を渡してボクたちが立ち去ろうとすると、その男性も「今日の仕事は終わりだ」と帰り支度を始めた。

どうして、仕事に出掛けないのかと聞くと、これまでと今日で十分な謝礼を貰ったので、今日は働く必要はないのだ、答えた。

その理由を聞いて、ボクはやっぱりね、と思った。
だから、後進国の人たちは駄目なんだ、こういう怠け者だから、貧しい生活をすることになるのだ、と即断したのだった。

今になって思い返すと、その時の自分は、なんと幼く傲慢だったのだろうか、と思う。
貧しいのはあの人ではなくて、実は、ボクの方だったのだとも思う。
そして、タイの人たちを馬鹿にした自分の愚かさを恥じる。
この歳になって、やっと、あの壺を売っていた男性一家の暮らしの豊かさに気がつくことができるようになった。

差別意識や優越感などの正体とは、所詮この程度のものである。
それは、自らの無知と愚かさの産物であることを知る。

   「恥ずかしき 思い出多き 記憶箱」


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