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かつてのスタッフからの相談

最近、久し振りに悩んだことがある。

5年ほど前に辞めた、かつての社員だった男性から連絡があり、相談があるという。
そこで、今年に入ってすぐの頃に本人から話を聞いた。

彼は、10数年間わが社で働いていたスタッフだった。
アシスタントから始まり、ディレクターを体験し、辞めた頃はプロデューサーをしていた。
決して器用ではないが、コツコツと物事を処理していくタイプの誠実で有用な人物だった。

それが、ある日、突然辞めたいと云いだした。
全く別の業界の仕事をやりたいとのことだった。
その仕事の説明は控えるが、ひとりで開業するといった内容のものだった。

ボクは、去る者は追わない主義である。
そうは云っても、その理由は確かめるし、場合によっては引き留めることもある。
しかし、理由がはっきりすれば、それ以上は留めることはしない。

本人たちの辞めたい理由はさまざまだが、たいていの場合は本人サイドの理由による。
まずは、一方的に本人の都合で辞めて行く。
それはある意味、実に一方的で、通告を受けるボクにとっては暴力的でさえある。

一度離れた心は戻らない。
心が離れるのには理由のあるのは当然だが、それはお互いの縁というものだから無理をしても仕方がない。
万事は一期一会。
そこまでの縁である。
ボクは徹底してそう信じているので、去る者追わずと決めている。

彼との場合もそうだった。急に辞められて、困ったが、それは仕方のないことだった。
対応するしかない。
そうして、彼との5年の月日が経ったのだった。

彼の話とは、再び、会社に復職したいというものだった。
現在の仕事は独りでやっているので、その孤独に耐えきれなくなった、というのが大きな理由だった。

ボクは、返事を保留し1ヶ月以上が過ぎた。
その間、幹部社員たちにも相談し、意見を聞いた。
実際に、一度辞めて復職したスタッフは現在2名いる。

去る者追わず、と同様に、来る者拒まず、の原則も、許す限りは大切にしている。
そして、悩んだ末に、結論を出した。
断ることにしたのだった。

理由は二つである。
今年50歳になる彼が復職しても、働けるのはせいぜい後10年だろう。
妻子もある。
それならば、今の自営の仕事を続ける方が良いだろう。

ボクもあと何年がんばれるかの保証はない。
将来的に渡って彼の面倒をみられない。

もうひとつは、彼の5年のブランクだった。
この5年の間にテレビの世界も大きく様変わりした。
以前に比べ、人情の入りこむ隙間も狭くなり、世知辛くなった。

よほどタフで強靭な精神力を持たないと、とても過酷なこの業界で生きることはできない。
現実に離脱者も出している、この状況に戻ることは難しいのではないか、というものである。

タイミングとは実に大切で、一度離れた心を取り戻すのは大変な作業なのである。

彼からは、了解したとのメールを受け取った。
ボクの下した判断に恐らく間違いはないと確信しているが、どこか心が痛む。

      「覆水の 盆に返らぬ こと多く」


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