FC2ブログ
ホーム   »  ドキュメンタリー  »  老妻への最後の口づけ

老妻への最後の口づけ

今日、親しかった人の葬儀があり、今、会社に戻って来たばかりだ。
ボクが学生時代に特にお世話になり、それ以来の知り合いの方の葬儀だった。

享年90歳。
ボクは彼女のことをこれまで「お母ちゃん」と呼んでいた。

日曜日の夜中の2時にケータイのベルが鳴った。
この時間の電話に碌な知らせはない。

「おい、とうとう亡くなったよ」
電話の主は藤井昭廣さんだった。

藤井昭廣さんは、環境庁長官や建設大臣を歴任した自民党の故小山長規衆議院議員の秘書として長年活躍し、現在小山議員の主宰していた清談会を継いでホテルオークラで事務所を構えている。
永年秘書として政界の顔役的存在とも云える。
ボクの政治関係の大切な情報源のひとつでもある。

この藤井昭廣さんには16歳年上の妻綾子さんがいた。
夜中の電話は、その彼女が闘病生活の末に亡くなられたとの連絡だったのだ。

藤井さんはボクよりも4歳年長だが、ボクの大学時代に就職の面倒を見ていただいた。
その頃、二年間ほど議員会館に出入りし、書生のような生活をし、藤井さんの家にもほとんど毎日出入りしていた。

その時に、食事を含めて何かと面倒をみてくれたのが、綾子さんだった。
ボクの外にも2人ほどの仲間がいて、ボクたちは彼女を「お母ちゃん」と呼んで甘えた。

幻のような過去の出来ごとである。

虎の門病院に駆けつけると、老いた「お母ちゃん」が静かに眠っていた。

藤井さんも急に年老いて見えた。

「藤井さんもずいぶんワルサもして来たけど、ここまで面倒をみたことを本当に尊敬しますよ」とボクは云った。
本心である。

「お前にそう云ってもらって嬉しいよ」と藤井さんは云い、お母ちゃんを覗き込むようにして「よくがんばってくれたなあ。ありがとう」とその唇に長い口づけをした。

お母ちゃん、うっすらと微笑んでいた。

   「夏が去り 愛とは何かを 考えた」


にほんブログ村 テレビブログ ドキュメンタリー番組へ にほんブログ村 テレビブログ プロデューサー・ディレクターへ 人気ブログランキングへ

ブログランキングに参加しています。クリックをお願いします。





関連記事
Comment
Trackback
Trackback URL
Comment Form
管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

馬鹿社長

Author:馬鹿社長
【小田昭太郎】
株式会社オルタスジャパン代表取締役

★ホームページ★

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR