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天王寺公園のテキヤの親分

大阪に有名な猿回しの芸人がいると聞き、ある夏の日、テレビの取材で出かけたことがあった。

大阪の天王寺公園だったと記憶しているが、大きな縁日が催されていて沢山の屋台や露店が並ぶ一角で猿回しが行われていた。

その猿回しの芸人は快く取材を受けてくれたが、まず、この縁日を仕切っているテキヤの親分の了解を得て欲しいと云う。

ボクは、首を紐で縛り、のし紙をつけた日本酒の一升瓶を三本下げて、公園の一隅に陣取っているテキヤの親分を訪ねた。

テントの中には2~3人のいかにもそれらしい強面の男たちがいた。
一様に半そでのシャツの下から倶利伽羅紋々の入れ墨をのぞかせている。

用件を伝えると、親分は今出かけていて居ない、という。

しばらく待っていると、親分が帰って来た。
小柄な老人で、やはり縮みの半そでシャツに作業ズボン姿でゴム草履を履いている。

とてもテキヤの親分とは思えぬ風体だったが、うん、と頷き「面倒をみてやれ」と若い衆に命じた。
「へい」と男たちはかしこまっている。

ボクは挨拶代わりにと、用意していた日本酒を差し出すと「まだ受け取る訳にはいかない」と拒んだ。

訳を聞くと、「自分たちの仕事ではこれから何が起きるか分からない。あんたの頼みを引き受けて、途中で事故でも起きた時には顔が立たない。それはあんたの仕事が無事に終わってからいただく」と云った。

ボクは思わず親分の顔を見直したものである。
義理や任侠は言葉では知っていたが、体験するのはそれが初めてだった。
こんな律儀な世界がまだ現実に生きていることに驚くと共に嬉しかった。

この体験は今もボクの身体に沁みついている。

   「人情も 義理もすたれて 任侠道」

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