FC2ブログ
ホーム   »  ドキュメンタリー  »  忘れられない風景 ~ポルポトとホタルの木③~

忘れられない風景 ~ポルポトとホタルの木③~

ポルポト軍の内情に通じている馬渕直城の力を頼りに、ボクたちは、カンボジア・タイ国境でゲリラ戦争を繰り広げていたポルポト軍と一週間寝起きを共にし、彼らの行動を記録した。
馬渕は英語、タイ語の他にカンボジア語にも堪能だった。

カンボジアはジャングルというよりは林といった感じのやさしい自然に包まれている。

時折、砲弾の音が響く。
パンといった渇いた音は地雷の破裂音だ。
兵隊は鹿か何かの動物が踏んだのだろうと事も無げに云う。
地雷原も至る所にあった。

兵隊の中にはまだ10歳にも満たない少年兵たちの姿も多かった。
ボクは少年兵たちの中に親から離れ、また親兄弟を亡くした悲しみを見出そうとしたが、無駄だった。
常に死と向き合う、厳しい戦況下にある彼等には、幼い少年とは云え、そんなセンチメンタリズムは通用しない。
甘い演出は現実の前に見事空を切る。

夜、フト目覚めた。

テントから出ると、いきなりキラキラと明るく点滅するネオンが見えた。
ボクはわが目を疑った。
ジャングルにネオンが。
しかし、よく見ると、それは、なんとホタルの群れだった。

20メートルほどの高さの1本の木に幾千幾万匹ものホタルが集まり、クリスマスツリーを作っていたのだった。
それは漆黒の闇の中に鮮やかな光を放っていた。

ボクはそっと馬渕を起こした。
ボクたちは翌日の厳しい行軍も忘れて、何時間もその幻想の世界に浸っていた。


         「ホタルの木 少年兵を そっと抱き」


にほんブログ村 テレビブログ ドキュメンタリー番組へ にほんブログ村 テレビブログ プロデューサー・ディレクターへ 人気ブログランキングへ

ブログランキングに参加しています。クリックをお願いします。





関連記事
Comment
Trackback
Trackback URL
Comment Form
管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

馬鹿社長

Author:馬鹿社長
【小田昭太郎】
株式会社オルタスジャパン代表取締役

★ホームページ★

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR