FC2ブログ
ホーム   »  ドキュメンタリー  »  忘れられない風景 ~正月とつばめ~

忘れられない風景 ~正月とつばめ~

つばめの軽やかに飛び回る姿を最後に見たのはいつの日だったろうか。

つばめはなぜか心の魅かれる鳥だが、ボクは今まで東京でつばめを見た記憶はない。

あれは小学校六年生の正月、父に連れられて、大阪府河内長野の母の実家に年始に行った時のことだった。

農家の広い中庭から見える電線に数羽のつばめがいた。
空気銃を手にした叔父が、「兄さん、あれを撃てますか」と父を挑発した。

「あれぐらい撃てるよ」と父は狙いを定めて引き金を引くと、嘘のように、一羽が風に舞う紙切れのようにヒラヒラとボクたちの目の前に落ちた。

それは誰もが予想していなかったまさかの光景だった。

場面は一瞬にして凍りついた。
父と叔父の笑顔は引き攣ったまま止まった。

すると、中の一羽が急ぎ舞い降りて、動かなくなった地面のつばめの周りを何度も旋回した。

親子だったのか、それとも夫婦だったのだろうか。

「兄さん、命中しましたなあ」白けた場を取り繕うような叔父の上ずった声が、渇いた中庭に空虚に響いた。


   「若き日の ほろ苦き思い 父偲ぶ」


にほんブログ村 テレビブログ ドキュメンタリー番組へ にほんブログ村 テレビブログ プロデューサー・ディレクターへ 人気ブログランキングへ

ブログランキングに参加しています。クリックをお願いします。




関連記事
Comment
Trackback
Trackback URL
Comment Form
管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

馬鹿社長

Author:馬鹿社長
【小田昭太郎】
株式会社オルタスジャパン代表取締役

★ホームページ★

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR