Archive | 2019年09月
ここのところ、子供への虐待や育児放棄などのニュースが盛んに流れている。
単純に、ああ!又か、とも感じるが、そんな事件が昔と比べて増えているのか、減っているのかは定かではない。
いまから50年近く前も「子捨て、子殺し誰がした」などというタイトルのドキュメンタリーがあったのを覚えている。
ボク自身も「上野駅前交番日記」という番組を作った時に、上野駅のコインロッカーからビニール袋に入れられテープでグルグル巻きにされた赤ちゃんが見つかり、撮影した経験がある。
袋の所々から滲みだした血の映像がいまも網膜に焼き付いている。
当時は「コインロッカーベイビー」という言葉が定着するほどにしばしば起きていた事件だ。
産んだ子の処置に困って捨てるのと虐待とは同じに扱えないだろうが、調べてみれば、それぞれのケースの裏にはそれぞれの事情があり、そこから特異性と普遍性が見つかるだろうし、ひとくくりの事件として扱うことは出来ないだろうとも思える。
例えどんな事情があろうとも許されざる者とは云え、その者が犯した過ちの経緯と原因や背景について考察すれば現在ならではの社会の姿や問題点が見えてくるのだろうと思う。
先日、男性スタッフのひとりが、4歳になる娘を連れて出社した。
ボクたちの会社には幼い子供を持つ母親たちも何人かいて、しばしば子供たちが会社に顔を出す。
せっかく娘が来たのだから一緒に昼飯でも食べようということになり、スタッフ数人と連れ立ってレストランに行った。
初めのうちは温和しく猫を被っていても、やがて本性を現すのが子供というものだ。
次第に活発に動き出し、父親を困らせる。
とても表情の豊かな可愛い子でボクたちはそんな父娘を好ましい思いで眺めていた。
クルクル動き回って、なかなかままならない娘の面倒をみながら
「小田さんの若い頃と子供の育て方もずいぶん違ってきたのでしょうね」
と若い父親は言った。
統計やデータがどうなのかは分からず、ただの印象にしか過ぎないが、確かに当節、若い父親の意識が変化してきたと感じる。
特に子育てについて母親に協力する父親たちが多くなったとの印象がある。
3.11東日本大震災をきっかけにして結婚したカップルも多いと聞く。
「寄り添う」との言葉が流行り、社会の最小単位としての家族の絆が見直された観がある。
時代が作り出す風潮は、いかにも不思議で、ボクの若い頃の家族や仕事への感覚は、とても現在では通用しないものだった。
とにかく仕事を何よりも優先させ、二番目が遊び、家族は三番目と考えていた。
勿論、個人差はあっただろうが、周囲にそういう人たちが多かったことは確かだ。
仕事柄、多くの人たちと会って飲むことが日常だったので、どこからが仕事でどこからが遊びなのかその境も混沌としており、24時間が仕事であり、遊びだった。
そして、ボクたちは、この仕事をする限り、親の死に目には会えなのも当然のこととして受け止めていた。
妻の二度のお産には勿論立ち会わなかった。
家族旅行などもしたことはない。
そういう類のことは軟弱に思えた。
放蕩無頼そのものだった。
歳を重ねて少しは分別もついてきた今から振り返ると、別れた妻にも娘たちにも申し訳なかったとは思うが、今さら取り返しはつかず、従って謝ることもない。
無責任極まりないお話で、これを書きながら自分でも嫌になるが、家庭のことはすべて妻に任せた形の一種の家族放棄で、本質的には冒頭に記した虐待や育児放棄と何ら変わらない行為だったとも思う。
しかし、仮に、もう一度人生をやり直せるとして、まっとうな道を歩むことができるとの自信が無いのも正直なところである。
そんなことを考えながら、幸せそうな若い父親と可愛い娘の姿を飽きることなく見ていた。
「時流れ ひと変われども 消せぬシミ」

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単純に、ああ!又か、とも感じるが、そんな事件が昔と比べて増えているのか、減っているのかは定かではない。
いまから50年近く前も「子捨て、子殺し誰がした」などというタイトルのドキュメンタリーがあったのを覚えている。
ボク自身も「上野駅前交番日記」という番組を作った時に、上野駅のコインロッカーからビニール袋に入れられテープでグルグル巻きにされた赤ちゃんが見つかり、撮影した経験がある。
袋の所々から滲みだした血の映像がいまも網膜に焼き付いている。
当時は「コインロッカーベイビー」という言葉が定着するほどにしばしば起きていた事件だ。
産んだ子の処置に困って捨てるのと虐待とは同じに扱えないだろうが、調べてみれば、それぞれのケースの裏にはそれぞれの事情があり、そこから特異性と普遍性が見つかるだろうし、ひとくくりの事件として扱うことは出来ないだろうとも思える。
例えどんな事情があろうとも許されざる者とは云え、その者が犯した過ちの経緯と原因や背景について考察すれば現在ならではの社会の姿や問題点が見えてくるのだろうと思う。
先日、男性スタッフのひとりが、4歳になる娘を連れて出社した。
ボクたちの会社には幼い子供を持つ母親たちも何人かいて、しばしば子供たちが会社に顔を出す。
せっかく娘が来たのだから一緒に昼飯でも食べようということになり、スタッフ数人と連れ立ってレストランに行った。
初めのうちは温和しく猫を被っていても、やがて本性を現すのが子供というものだ。
次第に活発に動き出し、父親を困らせる。
とても表情の豊かな可愛い子でボクたちはそんな父娘を好ましい思いで眺めていた。
クルクル動き回って、なかなかままならない娘の面倒をみながら
「小田さんの若い頃と子供の育て方もずいぶん違ってきたのでしょうね」
と若い父親は言った。
統計やデータがどうなのかは分からず、ただの印象にしか過ぎないが、確かに当節、若い父親の意識が変化してきたと感じる。
特に子育てについて母親に協力する父親たちが多くなったとの印象がある。
3.11東日本大震災をきっかけにして結婚したカップルも多いと聞く。
「寄り添う」との言葉が流行り、社会の最小単位としての家族の絆が見直された観がある。
時代が作り出す風潮は、いかにも不思議で、ボクの若い頃の家族や仕事への感覚は、とても現在では通用しないものだった。
とにかく仕事を何よりも優先させ、二番目が遊び、家族は三番目と考えていた。
勿論、個人差はあっただろうが、周囲にそういう人たちが多かったことは確かだ。
仕事柄、多くの人たちと会って飲むことが日常だったので、どこからが仕事でどこからが遊びなのかその境も混沌としており、24時間が仕事であり、遊びだった。
そして、ボクたちは、この仕事をする限り、親の死に目には会えなのも当然のこととして受け止めていた。
妻の二度のお産には勿論立ち会わなかった。
家族旅行などもしたことはない。
そういう類のことは軟弱に思えた。
放蕩無頼そのものだった。
歳を重ねて少しは分別もついてきた今から振り返ると、別れた妻にも娘たちにも申し訳なかったとは思うが、今さら取り返しはつかず、従って謝ることもない。
無責任極まりないお話で、これを書きながら自分でも嫌になるが、家庭のことはすべて妻に任せた形の一種の家族放棄で、本質的には冒頭に記した虐待や育児放棄と何ら変わらない行為だったとも思う。
しかし、仮に、もう一度人生をやり直せるとして、まっとうな道を歩むことができるとの自信が無いのも正直なところである。
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