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日馬富士の暴行事件

モンゴル出身の横綱日馬富士が同郷の力士である貴ノ岩に暴力を振るい大ケガを負わせた事件で連日ニュースやワイドショーが賑わいを見せている。

貴ノ岩は貴乃花部屋に所属する力士で、貴乃花部屋から提出された診断書によれば「脳振とう、左前頭部裂傷、右外耳道炎、右中頭蓋底骨折、髄液漏の疑いで全治2週間程度と考えられる」というものだ。

暴行事件はモンゴル出身力士たちによる仲間内の懇親会で起きたものであるらしい。
ビール瓶で殴ったのかどうかなどが問題になっているようだが、実際にはビール瓶ではなかったが、貴ノ岩が旭鷲山に語ったところによれば、それに類する酒瓶や灰皿やテレビのリモコンなどで手当り次に殴られたらしい。

同席した白鳳などは同僚の横綱である日馬富士をかばおうと歯切れが悪いが、ここまで大騒ぎになると、どこまで事をうやむやに出来るかどうか。

モンゴル人同士の内輪もめなので、日馬富士と貴ノ岩の間では実際に話はついていたのだとの噂も聞くが、貴ノ岩の親方である貴乃花がこのことを知り、黙って見過ごせないと警察に被害届を提出して問題化したというのが真相のようである。

兼ねてより貴乃花親方は興行主である日本相撲協会のあり方について疑問を持っていて、これまでにも、さまざまな改革案を提案してきたが、実現に至らず大きな不満を持っており、今回の暴力事件もまず相撲協会に報告するのが筋だが、もみ消されることを恐れて直接警察に被害届を提出したと思える。

見方によれば、貴乃花親方が相撲協会にケンカを売ったとも見えるし、また、この機会を捉えて、相撲協会の古い体質を変えるチャンスと考えた、とも思える。

貴乃花親方は事件の当事者である貴ノ岩をかくまって、相撲協会や報道関係者を含め世間から隔離しているので、さらに事件の謎を深めているのが実情だ。
一方、日馬富士は暴力行為を認めており、一説には15年以下の懲役か、50万円以下の罰金が科せられる罪に該当する可能性があるという。

出来るだけ穏便な形で処理したい相撲協会は貴乃花親方にお金で解決することを試みたが拒否されている。
実際に、貴ノ岩のケガは、簡単にもみ消すことのできないほどのかなりの重傷のようでもある。
九州場所の興行が終わってからの結論となろうが、果たしてどういう結末になるのだろうか。

本来ならば、警察がすぐにでも日馬富士を逮捕するような傷害事件だと思えるのだが、九州場所の興行中でもあり、また加害者と被害者が力士であることで特別の配慮をしている様子がうかがえる。
そういう意味でも相撲の世界は日本にあっては特殊であることが分かる。

日本では、プロ野球やサッカー等々様々なスポーツがあり、それぞれの形での興行が行われている訳だが、特に相撲は一部の人びとからは国技とも称されている。

優勝すれば天皇盃が授与され、一月場所には必ず天皇、皇后が観戦することが慣例になっていて、天覧相撲と呼ばれているように、皇室とも深い間柄にあるらしい。
それに新横綱になると明治神宮で土俵入りが奉納されるし、一年を通じて富岡八幡宮や伊勢神宮などでも奉納土俵入りが行われるように神道とも深い関係があるように見受けられ、何やら胡散臭い世界でもあるようだ。

一年6場所、ひと場所15日間の取組があるので、4日に一度の割合で相撲興行が行われている勘定で、NHKではその期間3時から6時までの全取組を総合テレビで放送している。
その意味では、国ぐるみで相撲興行を支えている格好だ。
どれだけの人口が大相撲に関心があるのか知らないが、国技と称される所以である。

そういう背景があるので、教育界での体罰にも似て、ある種、特別視された特殊な閉ざされた世界での暴力事件なので、関係者が出来るだけ事件にしたくないとの配慮が生まれるのだろう。

何しろ、この時代にチョンマゲを結っている異次元である。
相撲の好き嫌いは別にして、それだけでも日本相撲協会が守ろうとしている世界が容易に想像できる。
サッカーや他のスポーツ界とは異なり、日本の伝統文化であることを敢えて強調したいとの業界の意図が見える。

そのことが、別に悪いこととは思わないが、臭いものにはフタをするなどの隠ぺい体質や、今回の暴力沙汰なども引き起こすことになる。
貴乃花と日本相撲協会の対立にもそんな様子が見て取れる。

相撲をスポーツとして捉えるのか、プロレスまでではないが、興行を主とする疑似スポーツと見るかで立場も異なって来るだろう。
一時、興行の見世物としての大相撲時代は大手を振ってまかり通っていた八百長取組なども、時代の変遷と共に問題になり、建前では八百長相撲は厳しく取り締まられるようになったが、大相撲はもともと興行が主体のそういう世界なのかもしれないのである。

それをサッカーや他のスポーツと肩を並べての純然たるスポーツに変革すれば、もしかすると大相撲などは消滅するのかもしれないとも思う。
それは相撲業界が決めれば良いことだ。

ただ、仮にそういう閉鎖的な社会であっても、今回の日馬富士の暴力事件は大相撲の世界だからと大目に見てはならないものだし、貴乃花と相撲協会の対立で貴ノ岩が犠牲になるようなことがあってはならないと思う。
それが教育の場であろうと、皇室や神道との繋がりのある伝統社会であろうと、どんな理由があろうと暴力に対しては忖度なく、法の前に平等でなければならない。

        「ハッケヨイ 残すな悪の 徳俵」




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ディレクター誕生物語

いまわが社に、世間の一部から注目を浴びているディレクターがいる。
姓は関、名を強、関強という中国国籍の漢民族の男だ。

昨年、第32回「ATP賞テレビグランプリ2016」優秀新人賞を受賞し、つい先日、「Tokyo Docs 2017アジアドラマティックTV賞」を受賞した。
入社して4年目になる若手のディレクターである。

中国の北京首都師範学校を卒業し教師の免状を持っている。
卒業後、教職の道には進まず中国中央電視台(CCTV)に就職してカメラマンとなる。
中央電視台は日本ではNHKに相当するテレビ局である。

そこで日本のテレビ関係者との出会いが生まれ、来日することになる。
日本語の専門学校で2年間学び、東京造形大学の大学院で映画を専攻する。

ボクの親しい業界の先輩から、面白い男がいるので紹介したい、と勧められ会った。
まだ日本語もたどたどしかったが、意志の疎通は充分できた。

彼は、映画を撮りたい、と熱っぽく語り、大学院の卒業制作で作った作品を携えていた。
どういう内容かをひと口では説明できない内容で、粗っぽい作りだったが、ユーモアもあり、またシリアスでもあり、正直に言うと何を伝えたいのかはボクには未だに分からないのだが、作り手の熱い思いや映像へのこだわりが伝わってきて、特別の才能を感じ取ることができた。

丁度、新入社員の採用を間近に控えていた頃でもあったので、ボクは彼の採用は密かに決めていたのだったが、手続きを踏んで正社員として入社させることにした。
当時の彼の履歴書の志望、特技の欄には「カメラ、美術、編集」とあった。

彼の採用を決めたのには、彼の卒業制作作品で感じた才能と大陸的な茫洋としたスケールの大きさに惹かれたこともあったが、もうひとつ理由があった。

卒業制作の制作過程で制作費が不足し、お金の捻出に相当の苦労をしたらしい。
食べるものから何から節約し制作費につぎ込んだが、それでも足りず、そのうち、住居の電気やガス、水道代などの支払も滞り、やがて電気、ガスが止められてしまう。
水は究極の生命線なので、水道だけは止められないで済んだという。
真冬に凍るような冷水でシャワーを浴びて過ごした、と彼は淡々と笑みを浮かべながら語った。

ボクを含めて、いまどき、ここまでして、自分が表現したいと思い、実際に番組や作品を制作し続ける作り手はそうは転がってはいない。
本物の作り手馬鹿に出会えたことがボクはとても嬉しかった。

スタッフの中には、日本語が伝わり難いからなどの理由で、彼の採用について疑問を呈する者もいたが、そんな些細なことは問題ではなく、ボクはそういう意見は無視し続けた。

彼は現在、フジテレビの「NONFIX」という番組で「ボクが見た中国」シリーズを作り続けている。
これまで4作品を放送し、いま次のテーマの企画準備に取り掛かっている。
これまで受賞したのはこれらの番組に対しての評価である。

10月20日に渋谷のLOFT9で彼の作品の有料上映会が行われた。
「ボクが見た中国」シリーズのうちの二つの番組で「風花雪月~ボクが見た祖国・性の解放」と「花好月円~ボクが見た、中国のお金と欲望」である。
雨の降りしきる中、ボクも会場に足を運んだが、100人近い人びとがわざわざこの番組を視るためにお金を払って集まって来たのには驚いた。

ボクはわが社で制作し放送した番組のほとんどすべてを視ているので、当然これらも視ていたのだったが、改めて大きなスクリーンで視るとテレビの画面とは違った印象が新鮮だった。
そして、上映した二つの番組は、大きなスクリーンでの鑑賞に十分耐えうる力を持った作品であることに改めて気づいた。

この上映に向けて、A4版の雰囲気のあるチラシが配られていたが、そのデザインは関強のものであったことを知った。
そういえば、彼の履歴書の特技の欄に「カメラ、美術、編集」と記されていたことを思い出した。

ボクたちの会社では、それぞれがそれぞれの持ち場で懸命に仕事に打ち込んでいる。
そしてそのそれぞれ誰もが、独自の才能や特徴を持っている。

スタッフは会社の宝だ。
出来うる限り、その才能を生かし、それぞれが興味を持って楽しく仕事ができるようにと心を配り願っているが、実際はどうだろうか。

今週から、スタッフ全員ひとりひとりと個人面談することに決め、実行に移している。
改めて、スタッフの考えを知り、その個性を生かしたいと考えたからである。
とにかく楽しく、愉快に仕事に取り組める環境の場を作ることがボクのもっとも大きな役割である。

    「色、異なれど目指す所変わらず 色、異なればなお面白し」


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老兵は死なず……歌に生きる

石橋幸という歌手がいる。
かつて作家の中上健次が
「石橋幸は、ロシアの歌をロシア語で歌い、あまりに深くロシアの人と土地に共振れする」
と評した。

11月6日、新宿の紀伊國屋ホールで彼女の「僕の呼ぶ声~ロシア・アウトカーストの唄たち~」と題する20回目のコンサートがあり、聞きに行った。
収容人数418人の紀伊國屋ホールの広い会場が超満員だったのには驚いた。

彼女の歌を聞くのは何年振りだろうか。
ボクが彼女と出会ったのは30年近く前で、まだバブルの頃だった。
日本国中の土地が見る間に値上がりして土地神話が当たり前のように信じられていた時代である。

各地でさまざまな形での都市開発が行われたが、新宿の歌舞伎町の一角に位置するゴールデン街と称される地域もその対象とされた。
2000坪ほどのゴールデン街には、木造の長屋が密集し、200軒ほどの飲み屋が立ち並んでいた。
かつては青線と呼ばれる売春地帯だった地域である。

土地の値上がりを見込んで、不動産会社などがコールデン街の土地を次々に買い上げて行く、いわゆる「地上げ」という現象が起きていた。
歯が抜けるように、閉店する飲み屋が目立ち始めていた。
そんな状況を取材するためにボクはゴールデン街のお店を訪ね歩いたが、その時に知り合ったひとりが、石橋幸さんだった。

彼女は「ガルガンチュア」という名前の3坪ほどのスナックをやっている。
そのお店はジャーナリストの立花隆さんから譲り受けたと聞いた。

お店が次々に閉店して街そのものが寂びれていくことに危機感を感じていた街の人たちと話している時に「餅つき大会をやって元気でもつけない?」と提案したら「やろう!」ということになり、盛大に皆で餅つきをして道行く人たちに振る舞った。
石橋さんも熱心な賛同者のひとりだった。
もち米はボクが提供して、ゴールデン街の多くの有志たちが参加した。

こうして「ゴールデン街を守る会」が出来て、4~5年餅つき大会を行ったが、そのうちバブルが崩壊して、地上げ騒ぎも収まり、守る会も自然消滅することになる。
この時期にボクは頻繁にゴールデン街で飲み歩いていたのだったが、石橋幸さんのお店に行くことが多く、親しくなった。

彼女は早稲田大学の露文科で学び、ソ連の首都モスクワの大学に語学研修で訪れた。
ここで、ロシア革命の詳細を知る。
ロシア革命とは、ひと口で云えば、今から丁度100年前、世界で初めての社会主義国家を誕生させた革命である。

彼女はロシアに触れてその政治や文化に興味を持ち、好きだった歌への旅が始まる。
それは、人びとから、すでに忘れ去られている歌の探索の旅だった。
ロシア民謡、シャンソンを初めとして、囚人やジプシーの俗謡などを多数掘り起こした。
それらの歌を彼女はずっと歌い続けて来ている。
2010年にはモスクワのクレムリンで公演、2013年にはハバロフスクで野外コンサートも行っている。

紀伊國屋ホールでのコンサートは、今回で20年目となるものだった。
ここで20曲ほどを披露したが、それぞれの歌詞が日本語でスクリーンに投映されるので歌の意味を理解できる。
ロシア語で歌う彼女の歌は、メロディーもさることながら、歌詞に大きな意味を持つ。

舞台で石橋幸さんはこう語った。
「わたしは73歳になります。しわくちゃの婆さんだけれども、80歳になったら韓国に行って美容整形を受けて、頬骨を削り、つるんとした美女に生まれ変わりメジャーデビューするつもりです。どうぞご期待下さいね」

世の中、働き方改革などで老人たちの雇用年齢が延びていくとは云え、大方の企業では60歳で定年を迎え、給料を大幅にカットされて65歳で組織を去るのが現状である。
しかし実際には、まだまだ働ける元気な老人たちは多い。

石橋幸さんはそれらの老人たちを励ますかのように、舞台狭しと動き回り、高音も平気で歌い上げる若々しい姿を会場の人たちに惜しげなく見せた。

石橋幸さんのゴールデン街のお店ガルガンチュアにも2年ほどご無沙汰している。
明日にでも改めて彼女の顔を見に行くことにしよう。

      「老いてなお 好きな道行く 若さかな」


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馬鹿社長

Author:馬鹿社長
【小田昭太郎】
株式会社オルタスジャパン代表取締役

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